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医用生体工学専攻(医用生体工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
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 ヒトは、周りからいろいろな影響を受けると様々な反応を示すことがわかっています。例えばテストに失敗すると不安になったり、テーマパーク行きが決定すると興奮したり。このような反応は、個人差がありますが誰にでも起こります。私たちの研究室では、人にいろいろな刺激を加えた時に見られる生体反応、例をあげれば顔色の変化などを出来るだけ人に触ること無く計測する非接触の計測装置の開発と信号解析方法について研究しています。この研究の応用例の一つが、透析治療中の患者の精神状態の監視です。透析治療は長時間にわたるので、患者が時として不安な状態となり、中には透析用の針を抜いてしまう事故が起こり起こります。そんな時この装置があれば、不安な状態をいち早く検出して、事故を未然に防ぐことができると思っています。また障碍者や高齢者が、生活の中で本当に福祉機器を安心して使っているか評価することができます。

教授
影山 芳之
生体計測に関する研究

 骨折発生の予測や骨の破壊の様子は、受傷の状況、骨の構造の個体差などで異なります。また、大きな骨折に至らない小さな骨折(微小損傷)は日常生活でよく生じています。この微小損傷は骨のリモデリング(吸収や成長)に関係していることが知られています。デジタル画像相関法は、材料の変形前および変形後に撮影したデジタル画像を使用し、材料の変形により生じた表面のひずみ分布を比較的単純で安価な測定機器を用いて測定することができます。画像相関法は骨組織のひずみ分布を生体組織に触れることなく測定が可能なため、骨折発生の予測などに有効であると考えています。本研究では、骨組織表面の損傷とひずみ分布の関連性を解明するために、開発したデジタル画像相関技術を用いて、図に示すような皮質骨のマイクロ損傷近傍のひずみ分布の可視化を試み、医療画像への応用を検討しています。

教授
菊川 久夫
医用機械工学に関する研究

 磁気共鳴画像(MRI)は、CTと並んで臨床医学で最も使われる画像診断装置です。CTと比較すると、(1) 放射線被曝がないので繰り返し用いやすい、(2) 特定の組織を強調表示する能力に優れている、という特長があります。
 (1) の特長により、卒業研究においてボランティアを用いた撮影も可能で、いままでに、冷え性の研究(MRIで血管を映し出す)、お風呂のかき混ぜ効果の検討(MRIで乱流の部分を映し出す)、胃の蠕動運動の研究(MRIで、繰り返し撮影して、蠕動を可視化する)などバラエティに富んだ研究がなされてきました。私自身は、癌を映し出すDWIBS法(ドゥイブス法)を考案し、臨床に役立てており、この研究を続けています。

教授
高原 太郎
画像診断(磁気共鳴画像(MRI))

淡水棲巻貝であるヨーロッパモノアラガイを実験動物として、神経系に関する研究を行っています。学習・記憶の神経機構の解析を大きな研究テーマとして、視覚刺激と味覚刺激を組合わせた条件づけなどを動物に施し、それによる行動変化、ニューロンの電気生理学的な解析から、学習・記憶の神経機構の解明を目指しています。最近、モノアラガイが特定の視覚パターンに選択的に反応することを見出したので、現在はその神経機構の解明を中心に研究を進めています。また、音に関することも始めており、音声や楽器の音をヒトが認識する際にポイントとなる特徴は何かという問題について、波形の時間的構造がより重要ではないかという視点から研究を試みています。例えば、医療現場などで聞き間違いが起きやすい音声の特徴はどんな点にあるのか、なぜ聞きやすい音声とそうでないものがあるのか、楽器の微妙な音色の違いをどうして聞き分けられるのか、といった問題です。

教授
堀越 哲郎
行動変化の神経機構の研究

医用生体工学とは、工学技術を医療に適用することを目的とする医用工学と、生体の形態や機能を工学に活かす生体工学を合わせた学問領域です。その中で、現在、私の研究室では、特に救急医療や集中治療における脳蘇生治療の効率化や高度化のために、種々の治療ガイドラインで管理項目に挙げられている脳圧、脳血流量、脳温を同時に自動制御するシステムの開発研究を基礎から行っています。救急医療において心肺蘇生の次に行われる脳蘇生治療の充実が大変重要であるという認識が、近年、世界的に高まっているのに対して、実際の脳蘇生治療の現場では、専門スタッフの不足や高騰する医療コストなどが問題となっており、開発中のシステムが完成して臨床で実現するようになれば、専門スタッフをルーチンワーク的な過重労働から解放することができ、医療コストも抑制することが可能になるでしょう。また、現場で余裕が生じた分を他の項目の治療に回せば、よりきめ細やかな脳蘇生治療が実現でき、治療成績も向上するのではと考えています。そのような状況になれば、脳蘇生治療の標準化も進み、今までは実施していなかった病院でも脳蘇生治療に取り組めるようになるかもしれません。安心・安全は医療システムの構築という観点からも、ぜひ進めていきたい開発研究です。

准教授
檮木 智彦
輸液自動管理システム、脳組織生理状態自動制御システム、受診支援システム、心理学的応答特性解析システムなどの開発研究

*は補助教員


機械工学専攻(航空宇宙学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

人間は鳥の飛行を参考にして飛行機を発明しました.その後,科学時術は大きく進歩して鳥よりも遥かに速く,大きな飛行機が空を飛び,ロケットが宇宙に飛び出しています.その一方で,私たちの身近では新しい飛行機の時代が始まっています.それはドローンに代表される小さな飛行機の時代です.これらの飛行機は鳥や昆虫と同程度の大きさを持ちますが,このサイズまで飛行機が小さくなると,大きな飛行機のための技術や理論がうまく使えなくなります.そんな時,自然は再び様々なアイデアを私たちに提供してくれます.生物の形や運動を学び,新しい技術として応用する研究をバイオミメティクスと呼びますが,私たちの研究室では,飛行や泳ぎを対象としたバイオミメティクスの研究を行っています.鳥や魚の群を参考にした飛翔体の群制御の研究や,風のエネルギを利用して長距離を飛ぶ鳥の飛行方法の研究,イルカの形態や行動を参考にした流れの抵抗低減の研究などを行っています.

教授
稲田 喜信
飛行力学

本研究室では,”極めて軽く”また”大きく展開する”ことを特徴とする宇宙構造物を対象に,様々な基盤技術を応用するための研究を行っています.このような宇宙構造物には,人工衛星に搭載するアンテナやソーラーアレーをはじめ,惑星探査機の航行に使用するソーラーセイルや,月や惑星を探索するローバーのホイール,火星等の大気を有する惑星を飛行する飛行機のウィングなどがあります.また,将来,人類が宇宙で活動する時代がくると,滞在して行う観測を支援する居住空間を構築する技術も必要になります.このような場面で使われる軽量で折り畳める構造物を実現する際には,主に高分子フィルムや高強度繊維といった張力を与えて使う材料が活躍します.その一方で,圧縮力を受ける構造部材として,複合材や軽金属に代表される構造材料に加えて,圧力を与えた気体を利用したり,柔らかい材料を硬化させたりして圧縮力に耐えられるようにします.多彩な用途に応じた最適な構造を提案するためには,要素技術の研究だけではなく,それぞれの技術を応用する対象に対する理解と合理的なアプローチのための発想力が欠かせません.本研究室の大学院生は,研究活動を通して様々な場面で応用できる力を修得し,社会に出てからも活躍をしています.

教授
角田 博明
宇宙構造工学研究室ホームページ

私たちの研究室のテーマは「宇宙輸送の革新」です.どういうことかと言うと,現在地上から宇宙への輸送は,液体ロケットか固体ロケットかまたはそれらを組み合わせたロケットで行われています.しかし,二つ大きな問題があります.一つは,推進剤に固体ロケットは火薬,液体ロケットは液体水素他の爆発する可能性のある物質が使われているため,危険性が高いことです.もう一つは,スペースシャトルで一部再使用がされましたが,ほとんどのロケットが一回きりの使い捨てのため,輸送コストが非常に高いことです.これらを解決する方法として,危険性を除くには爆発危険性の極めて少ないハイブリッドロケットを使用すること.再使用を可能にするためには,酸化剤をジェットエンジンと同じように空気から取り入れる,空気吸い込みエンジンの使用が考えられています.私たちの研究室では,これらのエンジンを組み合わせて,安全で低コストの宇宙輸送手段を実現する研究をしています.

教授
那賀川 一郎
宇宙推進工学、熱流体力学、燃焼工学

宇宙でものを運ぶためのエンジン(推進機)の研究を行っています.このエンジンの用途は二通りあり,人工衛星や宇宙探査機の姿勢を制御する補助エンジンとこれらを遠方の軌道に飛ばすためのメインエンジンがあります.宇宙では利用できる推進剤に限りがあるので,エンジンから排出する推進剤をできるだけ少量で可能か限り高い速度で飛ばす方が推進剤の利用効率(自動車に例えると燃費)が高く有利です.このためには,推進剤をプラズマ化して電気的に加速する方法(プラズマ推進機)が優れています.この種の推進機の最も代表的な例は小惑星探査機はやぶさ(日本)やドーン(米国)のイオンエンジンです.私の研究室では,このようなプラズマ推進機の中でもより単純な仕組みでより高いプラズマ速度を達成可能な新しい加速方式(推進機)について研究を行っています.図はその一例で,二枚の加速電極をコンデンサ(あらかじめ高電圧に充電)に接続し,これらの間に挟んだ固体推進剤にパルスレーザーを照射して,発生したプラズマ中を流れる大電流とこの電流による磁場の相互作用(ローレンツ力)でプラズマを電磁加速する様子を示した写真です.図中右側は発生したプラズマを受けるターゲットで,この変位を計測することで,推進機が発したプラズマの力積を測ることができます.単純な構造を目指しているので,ほとんど全ての推進機および周辺機器は手づくりしています.既存の概念にとらわれない独創的な学生が多数いる大学で最適な研究対象です.

教授
堀澤 秀之
プラズマ工学

私の研究室では,「惑星空力推進」の研究を中心としています.惑星空力推進とは,火星などの大気を有する惑星に,地球からの探査機が着陸のために突入した際に周囲で発生する現象を解明し,安全で正確な探査機の着陸への貢献,地球とは異なる成分の惑星大気中で使うことができる航空機のエンジンや機体の基礎研究です.このためのキー・テクノロジーとして,衝撃波やデトネーションと呼ばれる不安定で非常に高速な流体現象の制御方法,飛行する物体の周囲の衝撃波を精度良く計測するための可視化計測法の実現に取り組んでいます.これらの研究は,JAXAが将来目指している火星探査機の技術に反映させます.また,デトネーションは,非常に強い圧力を発生させる現象であるため,航空機やロケットの近未来のエンジンとして活用する基礎研究にも取り組んでいます.これらの研究は,学内にとどまらず,他の大学やJAXAをはじめとする研究機関との連携の下に進められ,学生は多彩な研究者と交流しながら研究を進めています.

教授
水書 稔治
空力推進、衝撃波医工学,補償光学

宇宙空間を満たすプラズマの中では、オーロラや磁気嵐など様々な現象が起こっています。このような現象を研究するためには、人工衛星や探査機にプラズマ計測機を載せて、宇宙のその場での観測をおこなうことが有効な手段となります。そのために機器の設計を行い、試験機器(写真)を作製し、宇宙空間の環境を模擬するスペースチャンー内に開発中のプラズマ計測機を入れて、その性能を確認します。最近の開発例としては、ジオスペース探査衛星「あらせ」に搭載された高エネルギー電子計測器(HEP-e)や水星磁気圏探査機MMO搭載の水星イオン計測器(MIA)があります。この他に、高度100km程度の超高層大気領域を対象とする観測ロケット搭載のラングミュアプローブ(電子温度・密度の計測)や中性大気風計測器などもあります。このような人工衛星や探査機、観測ロケットに搭載された計測機器により観測データ得て、それを解析することで、宇宙空間中の様々な現象の研究を行っています。

教授
三宅 亙
宇宙プラズマ環境科学

田中研究室では,宇宙のゴミ・スペースデブリを研究の主軸に据えて,ハードウェアとソフトウェアの融合からデブリ問題を解決する基礎研究と実験を進めています.現在,3つの領域に研究の焦点を絞っています.
[1]スペースデブリの軌道及び衝突確率を求めるソフト開発:数万個オーダの膨大なデブリの軌道を高速度で計算し,いつ,どのあたりの宇宙空間で衝突するのか,正確にデブリの位置を求め,3次元コンピュータグラフィックスを使って,分かりやすく表示するシステムを開発しています.
[2]宇宙航空管制システムの開発:衛星や宇宙観光旅行の宇宙船が,デブリと衝突する事故を未然に回避,また宇宙から地上に落下してくるデブリと航空機との衝突を回避するための,宇宙航空管制のシステムを開発しています.安全な宇宙空間,安全な空を目指すための技術となります.
[3]デブリ計測システムの設計と開発:研究室では,電波レーダと光学望遠鏡を使った2種類のデブリ計測システムの研究を行っており,直径10cm以下の微小なデブリも計測できる技術の確立を目指しています.

准教授
田中 真
宇宙計測工学、衝撃工学

「宇宙工学」と「やわらかい構造物」をキーワードに研究をしています.人工衛星やロケットなど,宇宙に関わる構造物は一般に頑丈なイメージがあるかもしれません.しかし宇宙空間は地上に比べて極めて微小な力しか作用しません.そのため衛星や探査機などは必ずしも頑丈である必要はなく,やわらかい膜材料を使って衛星をつくることも可能です.膜面を大規模に利用した宇宙構造物はGossamer構造物と呼ばれ,実は宇宙開発の黎明期から研究が続けられてきました.例えば米国は1960年代初頭に直径30m超の風船型衛星(ECHOシリーズ)の打上げを行っています.近年の例では,JAXAが打上げを行ったソーラー電力実証機IKAROSがあります.IKAROSはやわらかい膜面を遠心力で展開してソーラーセイル(太陽帆)に利用しており,まさしくGossamer構造物の代表格と言えます.
私達の研究室では,有限要素法と呼ばれる数値解析法を利用してGossamer構造物の構造特性を調べています.先に挙げたソーラーセイルの他,大気圏突入の新技術として注目されているバリュートシステム,新型の成層圏気球などが主な研究対象となっています.

准教授
中篠 恭一
構造工学、有限要素解析

「非定常流れ」と「渦流れ」をキーワードに航空機や自動車の運動時の空力特性の把握や様々な流れ現象の解明、それに基づく工学製品の高性能化に関する研究を行っています。
航空機は、空気の力を利用することで大気中を自由に航行することができますが、実際の空気の流れは複雑で乱れています。また、航空機や自動車は様々な運動を行っています。そこで、コンピュータによる数値シミュレーションにより、流れの複雑性、乱れの現象を解明し、航空機や自動車の運動時の空気力学的特性を把握することで、高い運動性能を実現するための研究を行っています。さらに、非定常流体現象に関して得られた知見を血流解析などの医療分野へ応用する研究も行っています。
今後は、航空機の周りの流れから発生する騒音の発生メカニズムを解明し低騒音で環境にやさしい航空機を実現するための研究やスポーツ流体力学、生物流体力学などの分野に応用することも計画しています。
本研究室のシミュレーション技術は、東海大学のソーラーカーに応用され、数多くの世界大会での優勝にも貢献しています。

准教授
福田 紘大
流体工学、数値流体力学、空力音響学

化学ロケットは推力が大きいので地上から宇宙空間への輸送に適しています.また,固体推進剤を使用するロケットでは,深宇宙において推進剤の温度管理が容易であるという利点があります.当研究室では化学ロケットの振動燃焼を中心に研究を行っています. また,放射加熱を用いて固体推進剤の燃焼を変化させることによって小型モータの推力制御や振動燃焼の能動制御を行う基礎研究をしています.詳細には,ハイブリッドロケットに関しては境界層燃焼モデルの構築とそれを用いた燃焼特性の解析,酸化剤供給系や低周波固有不安定などの振動燃焼,燃焼応答関数の測定法,放射加熱下での燃料後退速度特性などを調べてきました.固体ロケットに関しては,気相準定常火炎モデルの構築およびそれによる燃焼応答関数などの導出,放射加熱下ならびに減圧下での固体推進薬の燃焼安定性,固有不安定により生じる速度結合型振動燃焼に関する研究などを行っています.

准教授
森田 貴和
宇宙推進工学、燃焼工学

現在、質量50kg以下の「超小型人工衛星」の開発・運用が活発化し、各種観測や新規技術試験等のために用いられています。しかし搭載スペースの関係から推進装置(エンジン)を搭載した例がほとんど無いのが現状です。本研究室では宇宙利用の可能性を更に広げるべく、超小型人工衛星に特化した高性能な「電気推進エンジン」と、その周辺機器およびシステムの研究・開発を行っています。
1.超小型人工衛星搭載用の電気推進エンジンに関する研究
 エンジン内部の電場と磁場の作用によって推進剤をプラズマ化し、それを電気的に加速・噴射を行って推力を得る「シリンドリカル型ホールスラスタ」を小型・省電力化する研究開発を行っています。
2.電気推進システムの構築についての研究
 エンジン単体ではエンジンとして機能させることは不可能です。そこで超小型人工衛星に搭載することを前提とした推進剤供給系や電源システム等の「推進システム」についての研究を行っています。

講師
池田 知行
電気推進工学

「流体可視化技術」や「分子イメージング技術」、そして「実験流体力学」等をキーワードとして研究を行なっています。流体可視化技術とは、空気の流れなどに代表される通常には目で見ることのできない流れ現象について、例えば光やタフト、オイル等を駆使することによって、我々が認識できる形として表示することを可能とする技術です。また、分子イメージング技術とは蛍光色素を用いた可視化技術の一種で、圧力や温度に応じて発光強度の変わる特殊な塗料 (感圧塗料、感温塗料) を用いて、塗布面全体の圧力場や温度場を面情報として取得可能な技術です。
当研究室では、これら流体可視化技術の開発を行い、また、これら開発した技術を駆使して風洞やバリスティックレンジ、衝撃波管等の流体実験装置を用いた実験を行うことで、様々な流体現象を実験的な観点から明らかにすることを目指しています。

講師
沼田 大樹
実験流体力学、衝撃波工学、流体可視化計測

*は補助教員


機械工学専攻(機械力学・制御工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

「自動車の運動」、「自動車の制御」と「アクティブセーフティ」をキーワードに研究をしています。近年自動車メーカーは自動ブレーキ、誤発進防止、ペダルの誤操作防止などの安全技術の開発に力を注いでいますが、まだまだ悲惨な事故は無くなりません。人工知能による自動運転技術の開発も進められています。しかし、電気自動車の実用化や先進的排気ガス対策技術が確立されていても、排気ガスによる大気汚染に苦しむ国々が多いという事実からもわかるように、自動運転技術が全世界に広がり、悲惨な事故が無くなる日が来るまでには、まだまだ時間がかかると考えられます。そこで、自動車に取り付けたセンサや、自動車と自動車がお互いの走行状態や運転状況を通信しあって共有化することにより、危険な状況をいち早く検知し、運転者に警告するとともに、必要ならば人間に代わって、安全な状況になるように自動車を制御するようなシステムの開発を行っています。

教授
荻野 弘彦
機械力学、制御工学

制御技術は,家電,ロボット,自動車,航空機といったあらゆる製品において不可欠な存在であり,産業の発展に多大な貢献をしています.当研究室では,この制御技術を柱として,理論から実践まで幅広く研究を行っています.例えば,ハードディスク装置や光ディスク装置などのマスストレージシステムでは,データを記録再生するヘッドをナノメートルの精度で位置決めする制御技術を開発し,装置の大容量化に貢献しています.また,人間の筋肉に近い特性を有し,圧縮空気によって伸縮する空気圧ゴム人工筋では,ヒステリシスなどの非線形な特性を補償する制御技術を開発し,人と柔らかく接しながら力仕事を行うロボットの開発を目指しています.多数の小型移動ロボットからなる群ロボットシステムでは,正多角形のようなフォーメーションを形作る制御技術を開発し,群れとして賢く行動するロボットシステムの開発を目指しています.

教授
奥山 淳
制御工学

流体潤滑を主体とした「トライボロジー」に関連する研究を行っています.「トライボロジー」は,擦れあう物体間の摩擦,摩耗,潤滑に関わる科学技術を扱う学問ですが,これに関連しない機械システムは存在しないと言って過言ではないと思います.地球環境問題が益々深刻化する中で,機械の摩擦を適切に制御することは重要な課題であり,現在も様々な研究が国内外で活発に行われています.当研究室では,トライボロジーの中でも特に薄い流体膜を介して摩擦をコントロールする流体潤滑を利用した機械システムを主体に研究を行っております.具体的には,電気自動車やロボットなどへの応用が今後期待されるトラクションドライブ,環境にやさしい空気潤滑軸受,ポンプやタービン発電機などのターボ機械に多用されているジャーナル軸受やガスシール,情報機器に使われる小型スピンドルモータなどを対象としています.

教授
落合 成行
機械力学、トライポロジー

私の研究室では,人と同じ空間で働くロボット(ヒューマン・フレンドリーロボット)の研究開発をしています.具体的には,(1)メカニカル安全装置を搭載したアシストスーツの開発,(2)高齢者の歩行速度調節能力を向上させる歩行訓練支援システムの開発,(3)目で動かすドローンの開発,(4)メカニカル安全装置を搭載した生活支援ロボットの開発を行っています.アシストスーツ用メカニカル安全装置・生活支援ロボット用メカニカル安全装置という本研究室独自に開発した安全装置を組み込んだ安心・安全なアシストスーツ,生活支援ロボットの開発をしています.また,人の歩行速度調節能力は年齢とともに低下すると言われているため,高齢者の歩行速度調節能力を効果的に訓練する歩行訓練支援システムも開発しています.さらに,四肢不自由な寝たきりの方のQuality of Life (QOL)の向上を目指し,目だけで動かすことができるドローンの開発を行っています.

教授
甲斐 義弘
ロボティクス、制御工学研究室ホームページ

複雑な工学問題の多くは、大規模適応進化システムの学習指向最適化問題として定式化できます。我が国の将来を多方面から支えるであろうロボットの知能構築は、そのチャレンジングな典型例です。多才な知能ロボットの実現を目指して、
・単純動作から複雑行動を自律的に実現する知能化方法論である知的合成動作制御法
・経験知識を活用して効率的に大規模学習問題を解く手法である多段階遺伝的アルゴリズム
・多様な動作を器用に実現する人工筋肉型アクチュエータであるストランド筋アクチュエータ
などの研究室オリジナルのツールを駆使しつつ、行動知能のモデリングとその効率的構築、人工筋駆動ロボットの動作制御、複雑協調行動の多段階実現などを進めています。
知能ロボット以外の大規模適応進化システムとして大規模航空交通流管理やスマートコミュニティの学習指向最適実現も取り組んでいます。

教授
鈴木 昌和
制御工学、ロボティクス

本研究室では,来るべき人とロボットの共生社会に向けて,人と親和性の高いロボットシステムに関する研究を行っています.将来的にロボットが生活支援,サービス,エンターテイメント等様々な局面において,人の日常生活に身近な存在となることが見込まれる中で,ロボットの滑らかな動作,ロボットに求められる自律性,人とロボットのコミュニケーション等の観点から研究に取り組んでいます.研究のプラットフォームとなるロボットは,パルロやペッパーのような人型ロボット,車輪型移動ロボット,マルチロータ型ドローン,あるいは世の中に存在しないロボットであれば,学生自ら3次元CADと3Dプリンタを駆使して唯一無二のロボットを設計・製作する場合もあります.また,超磁歪材料という機能性材料を用いた環境発電の研究も進めています.これは,振動エネルギーを電気エネルギーに換えるというもので,電車や車の通行時の路面振動や製造現場の機械振動をもとに発電を行うという新しい発電方式です.

教授
山本 佳男
ロボット工学、メカトロニクス

騒音のように不要とされる音を減らすための研究と,音が持つ情報を有効に利用するための研究の二本立てで研究を進めています.森下研究室では,パッシブな騒音制御法とアクティブな騒音制御法の両方について学術的,技術的な知見を蓄積しています.最近では,1)トンネルのような交通系基盤設備から発生する騒音の抑制,2)住居のような閉じた空間内の静音化,3)自動車吸排気系のようなダクト系における消音器の音響特性解析法,4)音響情報を利用した緊急車両の位置検知,などについて検討を行っています.近年,騒音対策技術は確実に進歩していますが,公害苦情に占める騒音の割合はむしろ増加していることから,騒音の抑制について今後も継続して取り組むことが不可欠です.また,原動機の電動化が今後進むと従来とは異なる騒音対策技術が主流になっていく可能性もあるため,新しい発想にもとづく騒音抑制法の模索を常に行っています.

教授
森下 達哉
機械力学、騒音制御

近年,深刻なエネルギー問題を背景に薄く柔軟な素材(ウェブと称する)を用いる太陽電池やリチウムイオン電池に期待が寄せられています.これらの製品はロール・ツー・ロール・プリンティッドエレクトロニクス生産方式(R2RPE)により製造されることが期待されておりますが,それに伴い高度なハンドリング技術が求められます.
そこで,生産工程で生じる不具合の予測および防止法の提案を行うことで,より高精度で安定したハンドリング技術の確立に従事しています.また,高機能フレキシブル製品の製造には,印刷技術とウェブの搬送技術の融合化が必須であるため、それらの基礎研究に従事しています.その他にも,ウェブをロール状に巻取る際にも多くの不具合が生じることがあり、それらを防ぐことは極めて重要です.これらの問題に対して,理論と実験の両面から検証しています.

准教授
砂見 雄太
トライポロジー、設計工学

加藤研究室では「人と自然にやさしい乗り物」の開発を目指した研究を行っています。主なテーマは、環境・エネルギー問題を重視する将来の交通機械システムに必要不可欠な「磁気浮上技術」の研究と操縦性・快適性の最適化を目的とした「次世代インテリジェントビークル」の研究です。一方、自動車に関する新たな技術はモータースポーツから生まれたものやブラッシュアップされたものが多くあります。当研究室では走ることを極限まで追求する「レーシングカー」を題材に新材料などを利用したエンジン・モーター、シャシに関する要素技術の構築や安全性に関する技術開発にも新たに取り組んでおります。これらの交通・輸送機械システムを研究対象としながら、機械工学、心理工学、生体計測工学、人間工学に関する多くの専門知識を吸収することができます。さらに、実験やシミュレーションを行うことによって、システムのデザイン能力を高めることも可能です。

講師
加藤 英晃
生体計測工学,心理工学,メカトロニクス

タイヤもなく車や電車が宙を走ったり、直接触っていないのにモノが浮かんで動いたり。少し前までは映画やアニメの中の「夢のような話」でしたが、実際にリニアモーターカーの実用運転が「現実の話」になってきています。成田研究室では「ミライの乗り物に関する技術」の開発を目指した研究を行っています。主なテーマは、環境・エネルギー問題を重視する将来の交通機械システムに必要不可欠な「磁気浮上技術」の研究です。
最大時速600キロで浮上しながら走行するリニアモーターカーが実現へ向け動き出しました。何両も連結して高速走行する車体には様々な振動が生じます。研究室では最も振動が生じやすい柔らかい薄鋼板を例にとり磁気浮上させ、振動を抑制させながら搬送し、実験データをもとに制御システムの開発を行っています。

講師
成田 正敬
制御工学、磁気工学、振動工学

鉄道車両関連技術の研究を行っています。鉄道は旅客輸送人数当たりのCO2の排出量が低く環境負荷の低い乗りものとされています。一方で、鉄道車両は様々な技術の集合体であり、本研究室では鉄道車両に関連する技術を横断的に研究しています。
左側の写真はジャイロユニットと呼ばれる姿勢安定装置を組み込んだジャイロモノレールです。自ら設計・製作することで試行錯誤し、より安定性の高いジャイロモノレールの製作することで得られた知識を基に鉄道車両における車体安定技術への応用を目指しています。
右側の写真は鉄道車両等の各種薄肉円筒構造における音振動連成現象の実験装置です。薄肉構造物は周期的な外力を受けると内部に形成された音場との間に音振動連成現象が生じ、抑制した場合は構造振動と騒音が低減します。一方で、促進した場合は圧電振動発電によって回収するできるため、発電デバイスの実用化に関する研究も行っています。

助教
土屋 寛太朗
構造力学、設計工学、鉄道工学

*は補助教員


機械工学専攻(材料工学・加工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

当研究室では「三大材料」を用いた「高機能性薄膜の創成」を柱となるテーマの一つとして検討しており、幅広い分野への応用を考えて研究をすすめています。なかでも高周波スパッタリング法、真空蒸着法、などの物理気相蒸着法を用いて作製した有機薄膜は本来、材料がもつ特性とは異なる優れた機能を発揮することがあります。たとえば、透明性の高い有機薄膜や、特定の有機溶剤に顕著に反応(吸着)する薄膜センサ、気相中で反応性の高い酸化性活性種(励起酸素分子・原子など)に顕著に反応する有機薄膜、さらには特定の酸化性活性種にのみ反応する有機フィルムインジケータなどの研究を行っています。これらの技術は電子機器や医療機器などへ搭載すべく、学内の他の研究室や学外の研究機関と共同で研究を行っています。また、プラズマや紫外線などで励起した酸化性活性種を用いた新たな材料の表面改質技術についても研究をすすめ、産業への応用を検討しています。

教授
岩森 暁
材料工学、材料力学

自動車のエンジンを含む様々な機械システムの摺動部表面にコーティングを施し,表面での摩擦を減少させることにより,機械システムのエネルギーロスの低減や信頼性の向上が実現可能となります.
我々の研究室ではDCマグネトロンスパッタリング法により新規潤滑性硬質膜を創成しています.その潤滑性硬質膜を切削工具にコーティングすることにより,Ti合金のような難削材加工時における切削油の使用量を減少させ,環境調和性の向上を目指しています.また,水素燃料との適合性に優れるロータリーエンジンのアペックスシールに薄膜を形成することにより,摩擦の低減とシール性の向上を両立させ,環境調和性に優れる水素ロータリーエンジンの高出力化・高耐久化を実現します.さらに,20年以上の寿命を有する人工股関節を開発することを目標に,サブミクロンサイズの摩耗粉の発生を抑制でき,かつ生体親和性に優れる新規潤滑性硬質膜の研究開発を進めています.

教授
神崎 昌郎
表面工学、表面改善

本研究室では,ほぼ無痛で血液を採取することが可能な「雌蚊の血液吸引メカニズムを模倣」して設計された血液採取デバイスの開発を行っています.特に,雌蚊と同等な吸引能力を有するマイクロポンプ,機能性薄膜アクチュエータ創製技術,バイオセンサシステム,極細管創製技術,さらには痛みの客観的評価法の開発を含むウェアラブル健康監視システムの開発を行っています.
その結果,ウェアラブル健康監視システムにより日々の健康管理を通して予防医療が可能となり,さらに極細管創製技術で創製された,ほぼ蚊の口と同サイズの「世界最小の金属製の注射針」は糖尿病予備軍数を含む糖尿病患者の方々にも,負担軽減に効果を発揮するでしょう.ウェアラブル健康監視システムの実現は,患者の方々のみならずご家族にも福音となるでしょう.
現在では,「世界最小の金属製の注射針」にセンサ機能を付加し,細胞などの極微小領域でのセンシングが可能なツールの開発も行っています.細胞内でのpH変化や温度変化を同ツールを用いて連続測定を目標としています.

教授
槌谷 和義
加工学、機能材料、医用工学

今日のエネルギー事情を考慮すれば,省エネルギー技術の進歩は経済発展や地球温暖化の抑制に不可欠な要件であり,近年,環境に消散されているエネルギーを回収するEnergy harvestingが注目されています.未使用の振動エネルギーを回収し電気エネルギーに変換する方法として,圧電素子を表面に貼付したはり構造が良く用いられ,外力等ではりが振動する際に生じる圧電素子の伸縮により,振動エネルギーの一部は電気エネルギーに変換されます.このような発電特性は振動系の力学的挙動に強く依存しますが,一方,この振動特性と圧電素子の電気的特性間の電気機械連成も考慮する必要があります.
このようなシステムにおける発電特性を改善するため,図に示すような両端に薄肉円板を有する円筒構造を取り上げ,一方の端板に加振力を負荷した際に生じる円板振動と内部音場間の機械音響連成を利用した発電システムを考案し,円板振動と発電による電場間の電気機械連成を考慮しながらその発電システムの有用性を明らかにしています.

教授
森山 裕幸
材料力学

塑性加工の研究を行っています。新素材である形状記憶合金、純チタン・チタン合金、マグネシウム合金と実用金属を用い引抜き加工研究を行っています。具体的には歯科矯正用ワイヤ、ガイドワイヤ、歯科用インプラント用ねじ、リサイクルを容易にする易解体ねじ、次世代用ボンディングワイヤの研究開発を行っています。実験研究の他、有限要素法(FEM)解析も行い、最適引抜き加工条件の選定や塑性加工品の割れ・きずなどの欠陥発生原因とその対策について検討しています。  
具体的な研究テーマを下記に示します。1)引抜きにおける線材表面きずと断線解析
2)超電導線材の引抜き 3)次世代ボンディング用超極細線材の伸線 4)形状記憶合金線材・管材の引抜き  5)有限要素法を利用した圧延、鍛造における表面きずの成長・回復研究  6)リサイクルを容易にする易解体ねじの開発と実用化  7)マグネシウム合金引抜き管を利用した医療ステントの開発  8)次世代の軽量自動車用ワイヤハーネスの開発  9)無痛注射針等の医療用極細管の量産化技術

教授
吉田 一也
塑性加工

 塑性変形をキーワードに研究を行っています.塑性変形とは材料に大きな力を加えたときに発生する永久に残る変形のことです.この変形を利用して,色々な部品や製品が作られています.身近なものでは,飲料缶やスプーン,大きなものでは船舶や飛行機の外板まで塑性変形を利用した加工(塑性加工)で作られています.ステープラ(ホッチキス)では皆さん自身が針を塑性加工して紙を止めています.塑性加工で作られた部品は,材料を捨てる部分が少なく,エコロジーな加工です.
 私たちの研究室では,塑性変形を利用したいろいろな加工法を研究しています.例えば,金属表面に鋼球を高速で打ち付けることにより,金属表面に塑性変形を発生させて強度を向上させるショットピーニングや,温度差を与えることで材料を塑性変形させて異なる材質の金属を接合させる方法,薄板を複雑形状に成形法などです

准教授
太田 高裕
塑性加工、溶接力学

すべての形ある工業製品は材料を加工することで生み出されています.当研究室では精密機械,航空機,自動車,鉄道などへの適用を目指した新しい塑性加工技術を研究しています.さらに,材料特性の評価手法,材料の変形を予測する数値解析技術,接合技術,製造された製品の性能までを総合的に考えたモノづくり研究を推進しています.

講師
窪田 紘明
塑性加工学、弾塑性力学

自動車動力源としての「燃料電池」と「リチウム2次電池」の材料を探索しています。
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は水素燃料以外にも炭化水素系の燃料、例えば都市ガスやガソリンなど、を利用することができます。燃料極上で改質反応が行われ、発電することができるので、システムの簡便化および高効率発電が可能となるため、盛んに研究されています。炭化水素燃料を直接利用すると燃料極上に炭素析出、硫黄被毒が起こるため、燃料極が劣化してしまいます。この劣化のメカニズムを詳細に理解して、劣化を熱力学的に予測し、抑制するための材料探索を行っています。
リチウム2次電池は携帯用端末の電源として大成功を収めました。今後は大容量化して自動車やフォーミュラ車両へと展開されていくでしょう。私達は全固体のリチウム2次電池の材料探索を行っています。近年、硫化物の固体電解質が液体電解質の電気伝導率を超えることが報じられました。硫化物は空気中で不安定であり、水分制御が必須です。そこで、私達は酸化物の固体電解質に注目しました。酸化物は空気中で安定であり、機械強度も高く電解質材料として優れています。電気伝導率は劣っているので、より優れた材料を探索しています。

講師
吉永 昌史
材料化学、固体イオニクス

*は補助教員


機械工学専攻(熱工学・流体工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

「環境保全」,「エネルギー有効利用」の観点から,ディーゼルエンジンを対象として,燃焼の基礎研究,新しいレーザー計測手法の開発を進めています.ディーゼルエンジンはトラックなどの大型自動車や船舶などの動力源ですが,熱効率と燃費が乗用車用のガソリンエンジンよりも良いために,地球温暖化に対する対策として注目されています.しかしこのエンジンは,排ガス中の窒素酸化物NOxや微粒子PMなどの有害物質が多くなりがちです.このために排ガスの一層のクリーン化,熱効率の改善が必要とされています.
ディーゼルエンジンから排出される有害物質の代表例のPMの主成分であるすすは,エンジン内部でどのように生成され排出されるのかについてまだ良く分かっていないのが現状です.これを基礎的に検討するために,ディーゼルエンジンのシリンダーの中と同等の温度・圧力を実現できる定容燃焼容器に,ガラス製の窓を装着して燃焼を可視化計測することにより,検討を進めています.
一方,エンジンの熱効率を高めるためには,摩擦損失を低減することが有効です.このための検討を行うことに役立つ,新しいレーザー計測手法の開発もすすめています.

教授
畔津 昭彦
燃焼工学、内燃機関工学、エネルギー変換工学

「流体工学」をもとに「スポーツ流体工学」と「流体抵抗制御」をキーワードに研究をしています.サッカーやバレーボールなど表面の縫い目やパネルの形状,表面の小さな凸凹や粗さなどが,ボール軌道の変化などに大きく作用し,ゲームそのものを左右することもあります.このような現象は,流体工学によって解明できます.すなわちボールの周りの流れが表面構造によって変化し,ボールに働く空気の力が変化することがその原因となるのです.流体工学を応用すれば,新規のボール開発に役立ことや,新たな魔球を生み出すことも可能かもしれません.一方,自動車や高層建築物などは空気抵抗が大きな問題となります.物体の形状やボールと同様に表面構造を変化させることで、空気抵抗を大きくしたり小さくしたりすることができます。
私達の研究室では,特に表面構造と流体抵抗の関係を調べて流体抵抗を制御するような研究を行っています.

教授
岡永 博夫
燃焼工学、内燃機関工学、エネルギー変換工学

ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)などの電動車両に使われている技術や、これからのクルマに求められる技術領域をテーマにして研究を進めています。現在、具体的に取組んでいる研究分野は、1)エネルギーストレージ分野、2)モータ制御分野、3)電動車両動特性分野、およびこれら電動パワープラントの4)制御分野に大きく分けることができます。大学の研究なので、企業のようにクルマを研究開発するわけではありません。しかし、既に製品化されているリチウムイオンバッテリひとつを取っても、スマートフォンからの発煙発火により製品出荷停止・回収など、未だに解明できていない課題が内在していることは事実です。身近な問題でも、ブレークスルーすると、世の中が大きく変わるテーマを対象としています。モータスポーツ分野では、最新の技術が投入され、競い合われますが、安全にレース開催するには、十分なテロ対策が最優先課題となるのが、今までの技術開発一辺倒とは違う課題への取組み方となります。自動車は知能を持ち、ロボット化してくることは、誰もが想像できる時代に変わりました。これからの世の中で人々に幸福をもたらすテーマを、自動車を題材に、幅広く考えて行く研究へ、すそ野を広げて取り組んでいます。

教授
坂本 俊之
エネルギー変換工学

 工場、自動車などで使用している熱エネルギの半分以上は排熱として未利用のまま捨てられています。未利用熱の再利用は社会的に大きな意味を有します。これらの捨てている熱を「熱音響機関」を用いて回収し、電力や冷却・加熱に再利用するために研究を行っています。熱音響機関は温度勾配で音波を発生・増幅可能な新しいエンジンです。これまでのエンジンには無い以下の特徴を持っています。
● ピストン等の可動部品がありません。本質的にメンテナンスフリーです。
● 産業排熱、自動車排熱、太陽熱等多様な熱源を利用した冷却・発電システムを実現可能です。
● 音波を用いた可動部を全く持たない新しいノンフロン冷凍を実現可能です。
● 本質的に可逆サイクルである為、高い熱効率を有します。
本研究室では、熱音響機関の基礎的な物理から実用化を目指した応用まで、広い範囲の熱音響現象の研究を行っています。

准教授
長谷川 真也
熱音響工学

種々の流体現象の解明と把握,また流体関連機器の高性能化のため,数値流体解析手法の開発と応用に取り組んでいます.数値解析は,現象の予測と設計の高精度化のためには今や必須のツールで,特に実験・計測が困難なミクロスケールの現象や極限状態,また非常に複雑な現象の可視化と予測等に効果的です.私は直交格子と埋め込み境界法を用いて,熱流体,壁乱流,固気二相流,気液二相流,混相流,流体構造連成等の解析技術の開発を行い,様々な企業,研究所との産官学連携研究に応用しています.図は円柱状物体周りの気液二相流解析の例で,実験との良好な一致を確認しています.
混相流は単相流とは異なり,相間の流れのエネルギ授受過程や流動様式が複雑化しがちで未だに解析が困難です.また流体構造連成などの多分野連成問題も未だに正確な解析が難しい分野です.私はこれらの気液二相流解析や構造連成解析を開発,応用し,様々な研究開発を行っています.

教授
高橋 俊
流体工学、数値流体力学

本研究室は、航空機や宇宙機の周りの流れを明らかにする研究を行っています。航空機は空気の力を利用して飛行しているために、機体を開発するためには、様々な飛行条件において空気の力や流れの様子を明らかにする必要があります。またスペースシャトルなどの宇宙船は、音速の数十倍の速さで地球大気に再突入飛行するために、火の玉に包まれるくらい高い温度に加熱されます。そこで宇宙機を高い温度から守るためには、機体周りの高温な流れの様子を知る必要があります。本研究室では、航空機の離発着陸時の低速な流れからスペースシャトルや惑星探査プローブなどの宇宙機が惑星大気に突入飛行する際の超高速な流れを対象に研究を行っています。そして、将来の宇宙船、極超音速機及び火星探査航空機の開発を目指しています。

准教授
山田 剛治
超音速気体力学、分光学、流体力学

 地球温暖化などの環境問題や限りある化石燃料の高効率な利用・再生エネルギーの普及などエネルギー問題の解決は,人類が地球上で持続的に生活していくために,急いで解決しなければならない問題です.そこで,我々の研究室では,熱や空気,水などの「流れ」に着目し,高効率・低環境負荷な機器の開発を目指して研究を行っています.エンジンや熱交換器などの工学機器においては,流れの中に渦が存在し,「乱流」と呼ばれる流れとなっています.「乱流」には,大小様々なスケールの渦が存在し,熱や物質の輸送を高めることが伝熱・混合促進の利点となる一方,運動量の輸送を高めることが摩擦抵抗増大の欠点となります.そこで,スーパーコンピュータによる数値的な手法や高速度カメラを用いた実験的な手法を駆使して,「乱流」や「乱流燃焼」に関する研究を推進しています.「乱流」や「乱流燃焼」の本質を理解するための基礎研究から,エンジン,燃料電池や熱交換器などに関する応用研究まで幅広い分野において研究活動を推進しています.これらの研究を通じて,エネルギー・環境問題の総合的な解決に貢献して行きます.

講師
福島 直哉
乱流燃焼

*は補助教員



建築土木工学専攻(土木工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

道路や鉄道、電気やガス・水道などを供給するライフライン、ダムやトンネル、ビルディングなど、これらは我々が安全で利便性の高い生活や高度な経済活動行う上で、重要で不可欠な社会基盤です。
そして、これらの土木・建築構造物を構成している材料の内、70〜80%がコンクリート材料です。しかし、これらの構造物は1955年〜1990年建設されたものが60%以上であり今後、メンテナンスや撤去・建替えを必要とされる構造物は莫大な量となっています。
また、近年の環境問題の内、廃棄物処理や資源の有効利用の問題に関して、セメントやコンクリートの製造に各種廃棄物を有効利用する技術が確立され、廃棄物のリサイクル問題を解決する切り札として様々な技術的蓄積がなされています。その結果、コンクリートは大量に廃棄物を有効利用しており、我が国の場合、循環型社会の構築・維持への貢献度は、30%を超えています。
このように、コンクリートは建設系の主要材料としてだけでなく、持続可能な社会システムを構成する上で必要不可欠な材料です。。
 笠井研究室においても、コンクリートの高性能化に関する様々な技術だけでなく、環境負荷低減を目的に、様々な分野の廃棄物・副産物をコンクリート用材料として有効利用する技術、およびコンクリート構造物のライフサイクルコストの低減を目的として高耐久・長寿命化について研究を行っています。

教授
笠井 哲郎
コンクリート工学、環境リサイクル工学

山がちで平地の少ない我が国では,軟弱な沖積平野に都市が発達してきました。軟弱地盤の変形(沈下)挙動の予測は重要課題で、一次元のみならず多次元の沈下挙動および長期間継続する沈下挙動を、簡単な試験結果のみでより良く評価するための研究を進めます。
長期沈下の要因である二次圧密がいつから始まるのかについては,2つの考えがあり意見の分かれるところです。二次圧密は一次圧密中から発生しているというスタンスのもと、この量を定義する二次圧密モデルを提案します。さらに、多次元へ応用することで、道路盛土など平面ひずみ条件の沈下挙動の評価を行います。
室内試験の沈下挙動であれば、これをある程度の精度で再現できる二次圧密モデルを構築しています。多次元への拡張は容易ではありませんが、重要なテーマですのでチャレンジしていきます。

教授
杉山 太宏
地盤工学

近年,建設現場における熟練工の不測や工期短縮のニーズの高まりとともに,プレキャストコンクリート製品の活用事例が増えています.これに対して,生産性や品質の向上や環境対策,コストダウンなどにつながるリサイクル素材の活用技術などの実用化が望まれています.
私たちの研究室では,プレキャストコンクリート製品の性能と生産性のバランスを考慮した,材料・配合および生産システムの最適化を研究しています.主なテーマは以下のとおりです.
テーマ1:各種混和材を活用したプレキャストコンクリート製品の生産性向上
テーマ2:コンクリートの耐久性に関する研究
これらの研究遂行に当たり,他の大学や民間企業,国の研究機関とのコラボレーションを積極的に進めています.

教授
伊達 重之
コンクリート工学、維持管理工学

 日本は毎年何所かで高波被害を受け,数十年毎に大津波に襲われています.これらの被害を事前に予測出来るようになれば,対策を立て,被災を防ぐ,あるいは減じることが出来ます.
 山本研では,津波による建物被害を広域で主要部材寸法を考慮して簡便に評価出来る手法,津波の浸水とそれによる地形変化を計算負荷を抑えて精度良く予測出来る方法,さらに高波による海岸堤防・護岸の前面洗堀や裏込め材の吸出し破壊予測法などを開発しました.
 津波による広域建物被害評価法や浸水・地形変化予測法は,高い精度の津波被害予測を適度な作業負担で行えます.高波による前面洗堀や吸出し破壊予測法も,役所の海岸防災計画策定に大いに役立つでしょう.
 現在は,河川の防災研究にも力を入れ始めました.このような社会の安全のために役立つ研究を一緒にやりませんか?

教授
山本 吉道
海岸工学、河川工学

 これからの都市・地域は人口減少、地球温暖化、自然災害などの問題に対応し、社会基盤施設は建設だけでなく、いかに有効に利活用し、維持管理をしていくかも含めた計画・政策づくりが求められています。本研究室は、計画系の研究室であり、都市と交通の視点から、アンケート調査、ヒヤリング調査、実測調査、資料収集を通して、それらの実態及び問題の構造をGISなどの空間的、統計的な手法を用いて把握をし、シミュレーションをはじめとする予測手法の構築を行い、それらを用いて解決策を検討し、最適な代替案を提案する研究を行います。具体的には、効率的な社会資本の維持管理や郊外地域の自然環境保全のための都市の縮退、二酸化炭素排出量を抑制する環境負荷の少ない都市を目指す公共交通の利用促進策の検討、災害に強い都市のための土地利用の規制・誘導、災害時の避難行動シミュレーションの構築や可視化について研究をしています。

教授
梶田 佳孝
都市計画、交通計画

我が国は世界有数の地震国で,たびたび,地震災害に見舞われてきました.現在は,首都直下地震や南海トラフ巨大地震などの来襲が危惧されています.このような非常に厳しい自然環境に対し,安心安全な生活を守るため,本研究室では,地震工学,構造工学に関する以下の研究に取り組んでいます.
・地盤調査とのバランスを考えた簡便化地盤モデルによる湘南地域の地震動予測
・強震観測データを用いた構造物と地盤の動的相互作用の研究
・実強震被害データを用いた河川堤防の耐震性評価に関する研究
・地殻変動データのモニタリングに基づく地震防災,地震予測
・構造物の異常検知,劣化診断のためのモニタリング技術の活用
・1923年関東地震による湘南地域の地震被害に関する調査的研究

教授
三神 厚
地震工学、構造工学

みなさんは「土木工学」と聞いて何をイメージしますか?橋、道路、コンクリート、水道…など、私達が普段何気なく使っているほぼ全ての公共機関に、土木が関わっています。土木工学とは、私達の生活を支える交通・通信・水道網などの社会基盤(それらを「インフラ」と呼びます)を設計・創造するための専門知識を学ぶ場所です。
 一方、最近よく耳にする「環境問題」、これも土木と係わりが深いことを知っていますか?例えば、地球温暖化によって海面が上昇した場合、海辺の街をいかに救うか、その防災手段を考え、実行できる技術・知識を持つのは土木工学です。このように土木工学は、自然環境と人間社会とをつなぐ役割を担っています。
 私達の研究室では、沖縄のサンゴ礁やマングローブ河川で現地調査を行い、土砂や窒素、リンといった栄養塩の流出量を調べ、自然がどれほど負荷を受けているのか、その詳細を調べています。また関東・石垣島沿岸のマイクロプラスチック現存量調査や東日本大震災、平成28年熊本地震の復興調査、神奈川県内の都市河川の水質調査等も鋭意進めています。

准教授
寺田 一美
海岸工学、水環境学

私たち自身はもちろん,物が移動することも考えると,交通なしに私たちの生活は成り立ちません.ひとや物の移動は,機会,手段,経路を選択することで形成されますが,その全てが現状の社会環境の制約下にあります.つまり,私たちはさまざまな暮らし方をしていますが,それは環境に応じた生活様式を取らざるを得えない結果でもあるのです.それは,たとえば出かけたくなるまち,安全なまちをデザインすることで,出かける機会が創出され,まちに活気が生まれることを意味します.そこで,現在の制約条件である社会環境を考慮しつつ,将来の価値観の変化も踏まえた,短期的・長期的双方の視点での交通環境の構築や,安全性・快適性の向上を研究しています.
たとえば,自転車は免許が要らない手軽で便利な交通手段ですが,実は事故が多く発生しており,最近では,歩行者にケガを負わせる加害者としての事故も増えてきています.しかし,自転車利用者側はその危険性を認識しておらず,ルール遵守意識も低い状況です.そこで,道路のデザインや事故の危険性を伝える方法等を工夫して,自転車利用者の安全利用意識が高まるための方策を検討しています.
また,高齢者の交通事故問題は非常に深刻な問題となっていますが,高齢者自身に運転能力の衰えを自覚する機会がないことや,認知症と運転の関係性が明確でないことなどが要因としてあり,免許返納を促す施策とは齟齬があります.そこで,高齢者の免許返納ではないアプローチで高齢者の交通安全を実現するべく,高齢者の移動の特性を把握し,自動運転を含めた適切な支援技術により運転を継続できる可能性を検討しています.

准教授
鈴木 美緒
交通計画、交通工学

専門分野は「自然災害」です。とりわけ、地震について注力して研究しております。といっても地学の分野のような地震自体のメカニズムを追求したり、発生を予測するものではなく、「地震に強い構造物」の研究です。安価で、手軽に造築でき、効果的に地震の被害を防ぐような構造物を思案しています。良い案を着想しても、土木構造物は規模が大きいため、すぐに施工することはできません。自らの案を精緻に検証する必要があります。そのためには、主に模型実験と数値解析の2つの方法を用います。模型実験では、学内にある土槽の中に、実物の1/20程度のミニチュア構造を作り、地震動を与えて、被害の全容や対策工の効果を検証しています。また数値解析では、パソコンを用いてシミュレーションを行い、模型実験と同様に、検証を繰り返しています。実験と解析の両方向から、地震から人々を守るような、何か画期的な構造はないものかと、日々研究を進めています。

助教
藤原 覚太
地震工学、地盤工学

*は補助教員


建築土木工学専攻(建築学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

近年、グリーンビルディング、ゼロエナジービルディングなどの言葉をよく聞くように、建築の消費エネルギー削減は地球全体の課題となっています。
これらの言葉は、省エネルギーだけではなく、建築の本来の目的であるヒトにとって快適で健康な環境の維持という意味も含んでいます。昼光照明もゼロエナジービルディングを達成する有効な手段の一つです。
研究室では室内に導入された昼光が視環境を形成し、それがヒトの心理・生理に影響を与えるまでの流れを解き、ヒトと地球にやさしい光環境の研究を行っています。
これまでの研究成果として、光ダクト、ライトシェルフのような昼光を利用する装置の視環境評価、不快グレア(まぶしさ)のない窓装置の設計・制御、LED照明と昼光照明の協調制御、生体リズムに基づいた昼光および電気照明の変動制御などの提案・開発があげられます。いくつかの成果は実際に建物で使われており、省エネルギーと快適・健康に貢献しています。

教授
岩田 利枝
建築環境工学

 建築史学は、歴史的な建築や都市を対象とする学問です。ただし、「過去」を知るだけではなく、「現在」の建築や都市のあり方を「過去」から問い直すことを目的とします。例えば住宅を例にみても、かつての住まい方から学ぶ点は多く、また歴史的な災害の被害状況を知ることが今後の防災計画に役立ちます。個人的には、建築の平面や意匠だけではなく、人がそこでどのように暮らしていたのか、「生活」「行為」「意識」との関わりを解き明かすことに最も関心があり、美術史学・社会学分野と共同で研究を進めています。
 一方、社会的活動として、各地の歴史的建造物の調査や復原、文化財建造物の耐震補強など保存管理計画の策定、歴史的建造物を核としたまちづくりや景観計画に携わっています。歴史的建造物の価値を、意匠・技術・社会背景など広い視点から調査し、その成果を地域に還元することで、歴史ある建物を後世に残し、町の個性を創出していくことに寄与しています。

教授
小沢 朝江
日本建築史

エアコンで冷房することを想像してください。スイッチの遠くに発電所があり、そのまた遠くにある遠い産油国から運んできた太古の資源を燃やして生じた電気でエアコンが動いて部屋の空気が冷やされます。涼しくしたいけど、外国産の資源は消費したくない、そう思う人は少なくないと思います。図はスウェーデンの専門雑誌に紹介された私の研究室の研究です。暑さで有名な熊谷(埼玉県)で、エアコンなしで涼しくできる住宅のプロジェクトです。植栽や格子戸、簾で日射を遮り、屋根・外壁は高断熱構造、間取りは通風のよい窓配置にし、豊富な地下水をくみ上げ壁や導入外気を冷やす、そんな工夫を凝らしました。エアコンの数分の一の使用電気量で最高でも室温28℃におさまりました。私の研究室では、このように地域に眠っている未利用の資源を利用して、住宅の冷暖房や給湯などを行なう仕組みについて研究しています。

教授
高橋 達
建築環境設備、建築パッシブシステム

建築では室内を快適に保つために空調が必要になっています。空調にはエネルギーが必要であり、いかに少ないエネルギーで快適環境を創造するかが研究のベースになっています。そのためには、負荷の削減、自然エネルギーの活用、高効率な機器とシステムの利用、最適な制御が大切で、これが省エネルギーや地球温暖化の防止につながります。私個人のこれまでの大きなテーマとしては、夜間に氷を蓄えて昼の冷房に使う氷蓄熱空調システムの開発や、その低温冷水を利用する低温送風空調システムの開発等を行ってきました。近年は、①1000人へのアンケートにより、住宅で窓を開けて涼をとる際の外気温との関連などについての分析、②外気のCO2濃度の上昇により換気量が増え、これが空調に与える影響の解析、③水が蒸発する際の気化熱を利用した簡易な冷却装置に関する実験、④エクセルでできる簡単な空調シミュレーションプログラムの開発などを行っています。

教授
坪田 祐二
建築設備

 人間の生活に必要な建築には、住宅から公共建物に至るまで各種建築が存在しますが、私の研究室では主に公共建築を中心とした建築計画の基礎・応用研究を行っています。建築計画の研究は建築設計に必要な条件(規模・機能・空間構成)をどのように求め規定するのか、そして利用者や管理者の立場から造られた建物の使われ方に関する問題点・課題を把握・診断・評価すると共に、新たな計画・設計に向けた指針やあり方を探索することが目的となります。近年取り組んでいる公共建築の研究としては、学校教育施設(幼稚園・小中高等学校・大学)、図書館、美術館・博物館、福祉施設(高齢者・保育・子育て支援)、地方自治体庁舎等の建築計画に関わる調査研究や計画・設計活動の実践等が挙げられます。本格的な人口減少時代に入った現在では、広域的な都市・地域計画の視点から近隣自治体と協働し、公共施設全体の再編に関わる研究にも取り組んでいます

教授
山﨑 俊裕
建築計画学、環境心理

私の研究室では、「夢のコンクリート=DFRCC」の研究を行っています。
コンクリートは、押す力には強いのですが、引く力には非常に弱い材料です。
ところが、DFRCCは、押しても引いても壊れ難いという、不思議なコンクリートです。
DFRCCについては、私も含めて何名かの先生が精力的に研究を進めています。
その中で、私の研究室では、地球環境に配慮したDFRCCの実現を目指しています。
例えば、1)鉄筋コンクリートの建物を解体したときに発生するコンクリート塊から取り出した、再生骨材を使用したDFRCC、
2)南九州では、火山灰であるシラスが広く分布していますが、これが降雨などで土砂災害を引き起こす場合があります。
このシラスを使用したDFRCC等が挙げられます。
地球環境に配慮したDFRCCを、「夢のコンクリート」ではなく、「現実のコンクリート」として世の中に提供できれば、これまで以上に環境に優しく、地震に強い建物が実現するはずです。
そのために、日々、学生さんたちとDFRCCの研究を進めています。

教授
渡部 憲
建築材料、建築構法

 主に20世紀におけるイギリスを中心とした近代建築と呼ばれる建築に関するデザインと理論、技術的特質、それらに関わった建築家や構造エンジニア、近代建築家教育や建築家職能制度の変遷などを研究しております。また、日本における近代建築の保存と再生、再利用について、それに関する唯一の国際組織であるDOCOMOMO(モダン・ムーブメントに関わる建築環境の資料調査と保存)のメンバーとして、アジア諸国を含めた地域との連携をとりながら、その方策や指針、再利用について提案を行っています。
 以上の研究を踏まえて、今後、保存を含めた設計プロセスにおける感性や精神性という暗黙知領域とドローイング見られる身体運動との関連性について、Cognitive Neuroscience(認知神経科学)の建築学への適用の可能性を問うための基礎的研究=認知建築学の探求を行う予定にしております。

教授
渡邉 研司
近代建築史、建築論

 21世紀、宇宙空間は人類の新しい居住空間となる可能性を持っています。人は新たなこの環境でどのように生きていけるのか、そんな壮大なテーマの研究を行っています。
 現在、世界の多くの宇宙機関や、ベンチャー企業が月面や火星を目指しています。太陽系には、近年大量の水が存在している可能性があることが明らかとなったり、たくさんの鉱物資源があることも分かってきています。
このような資源を求めて、人類はこれから未知なる大海原へと進出していくことでしょう。
 今後の未来を考えたときに、人類がずっとこの地球上に留まっていることの方が不自然な事なのかも知れません。
 このような千載一遇の素晴らしい時代に生きる建築家として何ができるのか、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

准教授
十亀 昭人
宇宙建築学、建築計画

研究室では主に大スパン構造物に特有の幾何学的非線形性や材料非線形性に起因する様々な力学問題について取り組んでいます。シェル構造、テンション構造、膜構造といった大スパン構造は、ビル状の構造物より軽量で柔軟である為に外力を受けると変形が大きく、また、圧縮抵抗できない材料特性などによって複雑な力学挙動を示します。また、大スパン構造にとって構造物の形は重要な意味を持っています。シェルやラチスシェル構造は球殻、円筒、EP曲面、HP曲面といった幾何学関数の曲面が多く使用されて来ましたが、近年では建設技術の高度化により自由な形態を持つシェルが数多く建設されるようになって来ました。この為、自由曲面ラチスシェルの座屈や耐力に関する研究の必要性が高まっています。研究室ではラチスシェルの座屈挙動を詳細に調査し、また形状最適化手法などを利用することによって、座屈耐力が高く不整にも強いラチスシェルの形態のあり方とその設計法について研究しています。

教授
山本 憲司
建築構造工学

空調技術は、気候に左右されない快適な建築環境を実現しました。しかし、建築の省エネルギーが実質的に義務化されていくこれからの時代、空調に依存した快適性のあり方には限界が来ています。人は本来、不快と感じる環境では自らの快適性を回復しようとするポテンシャルを持っています。これを環境適応といいますが、環境条件に対する行動的・生理的・心理的適応の法則性を明らかにし、環境設計に反映していく研究をしています。適応の手段には、着衣調節、滞在場所の選択、窓の開閉、パーソナル空調、状況に応じた快適性の変化などがあります。自然に近い環境ほど積極的な環境適応が見られるため、アトリウム、駅、パブリックスペースなどを対象に研究を行っています。また、これらの成果を都市部のヒートアイランド対策、駅やオフィスの環境設計に反映するための応用研究も行っています。

准教授
中野 淳太
建築環境学

建築の仕上げ材料は、建物使用者が直接触れるため、日常の安全性,快適性,居住性に大きく影響します。要求される事項も、それを満たすための材料も、年々多様化しています。
 もはやすべての材料を把握することは誰にも不可能ですが、『性能』という概念の元で整理すると、意外にシンプルです。私の祖父師の言葉を拝借すれば、性能とは、『使用者にとってのモノの善し悪しを数値で表したもの』と定義されます。『モノの善し悪し』に対しては疑問もないでしょうが、『数値で表す』というのが重要です。万人が納得できる方法で測定した物理量を比較する、ということです。また、『使用者にとって』というのも、忘れられがちです。施工現場では造りやすい材料がありがたがられますが、これは『現場監督にとって』管理しやすい材料であって、作りやすかった結果良い建物ができなければ『使用者にとって』は無価値です。
 本研究室では、建築仕上げ材料の性能の評価方法や、性能良く仕上げ材料を施工する方法を、研究しています。

准教授
横井 健
材料・施工

豊かな建築の「かたち」をデザインするための研究と実践を行なっています。建築は物理的な状況をつくるものであり、屋根や壁、床、開口部などの形によって部屋どうしの関係や建物内と外の環境とのつながり方を強めたり弱めたりします。また、使われ方が変化しても廃墟になっても形が残ります。つまり、平たく言えば建築とは「かたち」のデザインなのです。優れた建築だけでなく、身近な街を観察してみると、建築の形はたくさんの理由からできている事がわかります。機能、構造、環境、歴史、法律といった専門的な側面だけでなく、生活や習慣、街のキャラクターなど身近な日常的な風景の中にも「かたち」の理由を見つける事ができます。その分析から新しいデザインの理論をつくり、具体的なデザインとして形にしていきます。実践面では住宅や集合住宅などの設計活動しており、完成した空間を体験し分析を重ね、形についての理論を深めていきたいと考えています。

准教授
河内 一泰
建築デザイン、都市デザイン

全ての建築物には柱や梁などの骨組があり,これを「構造」と呼びます.安全な建物を建てるためには,この構造の配置や大きさを適切に決めることが重要です.その方法は,法律や指針に示されており設計者はそれに従って設計をしています.ただし,これだけでは全ての建築物を安全に設計できません.なぜなら,法律や指針に示されている方法は,建物形状やその他の条件が頻繁に使われるものを対象としており,その条件から外れてしまうと適用できないからです.そのような建築物には設計者の判断が加えられます.適切に判断をすれば,適用外であっても安全な建築物に設計できますが,その為には非常に多くの知識と経験が必要になります.私の研究は,適用外の建築物に適切な判断を下せる術を提案することを目的としています.主な研究内容は,様々な建築物から適用外となる場合の調査,適用外の場合の傾向を理論や実験により検証,その傾向を法律や指針の方法と比較し適切な方法の提案です.

助教
野村 圭介
建築構造工学

*は補助教員



応用理化学専攻(金属材料工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

我々の研究室では電子顕微鏡や赤外分光装置など様々なツールを利用して、金属、炭素材料から生体材料まで各種材料の微細(ナノ)構造に由来する性質を評価・計測することに取り組み、これらの技術をベースに新奇物性の発現、新材料の開発を目指した研究を行っています。特に、顕微鏡下でナノ構造や各種物性の動的な評価・計測を得意としています。先端材料研究においては材料組織の評価は不可欠です。各種顕微鏡を用いた動的な観察・計測は、構造や物性に関する様々な情報の直感的な理解を可能にします。まさに「百聞は一見にしかず」です。ナノレベルでの材料研究には新たな発見があり、思いもよらない材料をもたらす可能性を秘めています。最近では再生医療や考古学へも研究を展開しており、工学部ならではの視点で様々な成果を挙げています。

教授
葛巻 徹
ナノ材料計測科学、ナノカーボン物質の合成と評価、再生医療

 専門は「セラミックス」で、担当授業科目は「セラミック材料学特論」です。ナノサイズのオーダーで粒子や粒界を制御したセラミック材料に関する研究を行っています。特に、靱性と硬度などの特性改善を目的としたバイオセラミックス(生体セラミック材料)や優れた可視光応答型特性を有する光触媒セラミックス(環境セラミック材料)などの合成と評価ついて研究を行っています。主な著書は、『セラミック材料入門』(単著、培風館)、『セラミック工学ハンドブック(第2版)』(分担執筆、技報堂出版)、『セラミックス材料化学』(共著、丸善)などです。

教授
松下 純一
セラミックス材料、導電性セラミックス、バイオセラミックス

本研究室はモノとモノとをつける接合技術に関する研究を行っています.特に,ろう付・はんだ付に関する研究を行っています.ろう付は溶接などの接合技術と比較して,冶金的な面接合が達成可能な技術であり,ものづくり分野の重要技術と位置付けられています.接着剤による接合も面接合が得られますが,冶金的な接合ではないので,経年劣化や環境による劣化が懸念される場合が多いと言われています.
ろう付・はんだ付は,接合したい物の間にろう材・はんだと言われる溶融した金属を毛管現象により流入させ,液相/固相間の界面反応によって強固な密着を得る事により接合する技術です.また,ろう付は極めて重要な技術ですが,科学的な考察が加えられる様になって日が浅く,学問的に未解決な問題が多く存在しています.一方,新技術や新素材の開発のスピードはますます加速しており,それに伴い,ものづくりにおける材料プロセス技術(材料の製造技術や加工技術など)の高度化,高精度化などが要求されております.そこで,宮沢研究室では,金属材料同士または金属材料と非金属材料(主に,セラミックスや炭素系材料)との接合に関する研究を実施しております.

教授
宮沢 靖幸
接合科学、金属材料のろう付と組織解析

我々の研究室では熱電変換材料の研究を行っています。ナノ構造を利用した熱・電子輸送制御を行うことで、 高い性能を持つ材料開発を行っています。研究の範囲は熱・電子輸送計算-結晶成長-デバイス製作-物性評価等の材料からデバイスまでの広い範囲に渡っており、 学生が多くの技術を修得できるようにしています。熱電変換材料は熱を電気に、また、電気を熱に変換することができるという他の材料には見られないユニークな特性を持っています。この熱電変換材料を使ったデバイスは可動部がない固体素子であるため、静寂性に優れ、かつ、微細化することが可能です。特に近年、エネルギーハーベスティングへの関心の高まりから、身近な熱を電気に変換する技術に注目が集まっている。この変換された電気エネルギーを利用することによって、IoT(モノのインターネット)の普及のボトルネックの1つになっているセンサの半永久的な電源確保に貢献できます。

教授
高尻 雅之
電子材料、熱電半導体

本研究室では、主に、水素吸蔵合金を用いた二酸化炭素(CO2)のメタン化に関する研究を行っています。大気中CO2濃度の上昇とともに現在進行している、地球温暖化を緩和する方法の一つとして、大気中CO2のメタン化が挙げられます。大気中からキャプチャーしたCO2と、再生可能エネルギーを用いた水の電気分解により生成した水素からメタンを作る、というアイデアです。このメタン化反応は、従来は、高温高圧条件を必要としていました。しかし、CO2+H2混合ガス雰囲気下で、水素吸蔵合金をボールミリング処理することにより、外部から加熱をしなくとも容易にCO2をメタン化できることが明らかとなりました。ボールミリングを用いたメタン化によって合金の微細組織は著しく変化し、酸化物や炭酸化物と金属が複雑に絡み合ったナノ構造をとることがわかっています。これをアトムプローブという元素分析法を用いて詳細に調べ、どのような組織を持った材料が高効率なメタン生成触媒となりうるのか探索をしています。今後、様々な水素吸蔵材料を用いて実験を行いながら、より高効率なメタン生成触媒の探索へ繋げることを目指しています。また、これとは別に、表面硬化処理の一つである窒化処理を、より低温で行うための研究や、スパッタ蒸着により作製した金属薄膜と水素の反応に伴う機械的性質の変化などについての基礎的な研究など、環境とエネルギーをキーワードに据えて材料の研究を行っています。

講師
源馬 龍太
水素貯蔵、薄膜工学

本研究室では、超伝導の応用に関する研究を行なっています。特に、超伝導線材の開発と、低温における超伝導線材の機械特性試験を行なっています。扱う材料として、低温超伝導体、高温超伝導体の両方を対象とし、幅広い研究を行なっています。具体的には、パウダーインチューブ法を用いたNb3Sn、MgB2、REBCO線材の開発を行います。この研究によって、使いやすさと通電特性が両立する線材の開発を目指します。また、実用超伝導線材の低温引張り通電試験では、ここにしかない技術を使って研究を進めます。この研究によって、超伝導線材を応用する上で必要な最後の特性評価を行います。さらに、低温引張り試験の世界標準を作ることを目指しています。

講師
小黒 英俊
超伝導

*は補助教員


応用理化学専攻(原子力工学領域)

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教員名
専門分野研究室URL

放射線を医学に利用する方法および放射線の人体に対する影響について研究しています。
放射線はレントゲン検査をはじめとして、医学、工学、農学の幅広い分野に活用されています。放射線障害のリスクを踏まえつつ、いかに活用するかが課題です。放射線の医学利用については、重イオン線というX線とは異なった放射線によるがん治療の有効性について、その生物への作用機構を解明することから研究しています。
 もう一つのテーマは、X線顕微鏡の開発です。X線を生物学や医学の道具として役立てることを目的として、普通の可視光の顕微鏡では見ることのできない微細な世界を観察する装置を考えています。さらに、X線は元素を識別するという可視光にはできない大きな特徴があります。それを利用すると、元素を見る顕微鏡が可能となります。このように、放射線の医学、生物学への無限の可能性に魅力を感じて研究を行っています。

教授
伊藤 敦
放射線生物物理学、重イオン線の生物作用、X線イメージングの医生物学応用

原子核を利用してエネルギーを得る方法は2種類あります。核分裂反応と核融合反応です。重い元素(ウランなど)が軽い元素に分裂するのが核分裂反応です。軽い元素(重水素など)が融合して重い元素になるのが核融合です。どちらの反応も、化学反応では得られない大きなエネルギーを発生します。太陽は水素の核融合反応により輝いています。核融合を利用した発電が実現したら人類のエネルギー需要は数千万年以上も満たしてくれるといわれています。
私たちの研究室では、エネルギーを得ることはできないのですが、非常に小さな装置で簡単に核融合反応を発生する慣性静電閉じ込め核融合の装置を開発しています。核融合から発生する中性子を用いて、資源の探査や麻薬の探査に利用しようと考えています。中性子は電荷がなく原子核と反応するとガンマ線を放出して、そのエネルギーを測定すると元素を特定することができるのです。

教授
内海 倫明
メカノ核反応、結晶構造解析

原子炉物理学、原子炉工学、核燃料工学を軸に、主に発電炉と核燃料を対象とし、幅広く独自の研究に取り組みます。
 主な研究課題の例を次に示します。
1. 原子炉と核燃料の解析と評価
軽水炉燃料の燃焼特性の解明と有効利用
2. 核燃料サイクルの効率化
使用済燃料の放射能・未臨界度の評価と計量管理
3. 原子力発電所の安全確保
原子炉シミュレータによる動特性把握と安全方策の立案
4. 中性子の計測
 新型中性子計測システムの開発と計算解析による検証

研究の成果を適用して、原子力発電と核燃料サイクルの安全・効率を向上することを目的とします。

教授
亀山 高範
原子炉物理学、原子炉工学、核燃料工学

皆さんは、日本においては電力供給の20%以上を原子力エネルギー利用によって賄う必要があることをご存知ですか?これはエネルギー関連の専門家たちが議論して到達した2030年までに達成するべき政府の目標になっています。皆さんのご家庭ではコンセントにプラグを差し込めば、いつでも安価な電気が使える生活を享受していますが、その便益を持続的に維持して発展させていくためには、原子力の事故の影響の危険性(リスク)をよく認識した上で、そのリスクの低減に常に努力しながら利用していくことが重要なのです。
私は原子力の専門家として東日本大震災による福島第1原子力発電所での事故の影響を回復することが、なによりも一番大きな責務と考えています。それと同時に、日本の技術で世界各国と連携し、より安全な原子力の利用に貢献していくことが大切と思います。
私の研究室では、「第4世代炉」と呼ばれる次世代原子力システムのシビアアクシデント対策、さらには、それらのリスク評価等に関する研究に取り組んでいます。我々と一緒に技術立国としての日本の持続的な発展のために貢献していきましょう。

教授
堺 公明
原子炉工学、原子炉安全工学

 放射線発生施設(源)から生成、放出される放射線に対する遮蔽効果や環境中での挙動を測定・分析すると共に、モンテカルロ計算によるシミュレーション解析との比較から、その有効性を評価する放射線挙動に関する研究を行っています。
 特に今後有望視された大型エネルギー源である核融合炉では14MeVの高エネルギー中性子の発生があり、人体への影響を評価しておくことが責務となります。このため人体模擬体であるファントムを用い、体内中の中性子挙動を分析する実験及び解析計算を行っています。
また、古代エジプトのガラス質遺物(ファイアンス)またはそれらの原材料となる砂・岩石等中の主要元素・微量元素の構成元素を中性子放射化分析や蛍光X線分析での非破壊による定性・定量的に分析し、含有率等の分布状態から時代性・地域性の考古学的特徴を導出し、歴史的な背景・推移等を検証する上での科学的・考古学的な情報源を蓄積するための基礎研究も行っています。

教授
吉田 茂生
放射線計測学・安全管理学、放射線挙動測定と解析

 核燃料は原子力発電所で一定期間燃焼すると、使用済み核燃料として原子炉から取り出されます。「使用済み」といっても、核分裂生成物は5%程度で、大部分がウランなのです。このウランには235Uと238Uがあり、核分裂しやすい235Uが約1%含まれ、天然の同位体比0.72%よりも高い組成となっています。また、原子炉内の核反応により新たにプルトニウムが生成するため、使用済み核燃料にはプルトニウムが約1%も含まれています。ウランやプルトニウムは貴重なエネルギー資源であることから、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを回収し、原子炉の燃料として再利用することが重要です。使用済み核燃料からウランやプルトニウムを回収することを再処理と言い、核分裂生成物を含む高レベル放射性廃液を処理するプロセスも含まれます。核分裂生成物は20を超える種類の元素から構成され、ウランなどのアクチノイド元素も含め、再処理は化学処理による元素分離プロセスと言えます。
 再処理の手法には、水溶液系で行う湿式法や溶融塩を用いる乾式法などがあります。近年、プルトニウムを単離しない核拡散抵抗性を有する手法や、廃棄物の処理処分をも考慮した元素群分離、廃棄物発生を極力低減する手法などが研究開発されています。ここでは、新規反応媒体を用いるなど、既存の技術にとらわれない新たな分離手法の検討を進めています。

准教授
浅沼 徳子
核燃料再処理

*は補助教員


応用理化学専攻(応用化学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

みなさん、化学合成って難しそうで、体に悪そうってイメージをもっていません?
でも、私たちが生きているのは体の中で化学反応が起こっているから、病気が治るのは化学合成で薬を作れるから、今着ている洋服だって化学繊維で出来ているし、電気も化学反応でエネルギーを取出しって…私たちの生活のどこを見ても化学だらけって具合に身近なものなのです。それに、物理が好きな人の化学、生物が好きな人の化学、数学が好きな人の化学って感じで多様な分野があるのも化学の特徴です。
 私達の研究室でも様々な化学に挑戦していますが、ひとつはスマホや大画面テレビなどに使われる半導体素子を作るための薄膜について研究しています。半導体素子はトランジスタや抵抗、コンデンサなど組み合わされて出来ていますが、より小型化して速く動作し、また消費電力を減らすにはどのような膜を合成すればよいか、またその方法は?などを研究しています。
 また、最近、文系の先生と共同で古代エジプトの化学技術の解明という研究も始めました。
薄膜の合成と古代エジプトの技術、まったく違う研究に見えますが、ともに“化学”がキーワードです。

教授
秋山 泰伸
化学工学、物理化学、薄膜・微粒子製造プロセスの反応工学

私たちの研究室では、「化学反応を利用し・モノとモノを組み合わせて」、「新たな機能を創り出す」ことをテーマに研究を進めています。
特に近年では、「ハイドロコロイド」をベースに、食品や環境保全にかかわる新たな機能性複合材料(複合ゲル)の創製に関する研究を行っています。
例として、2005年度からスタートした介護治療食の調製と物性評価に関する研究は、2008年度から2019年度まで4期12年にわたり科研費の採択を受けて研究を進めています。一方、2015年度からは栃木県産業技術センター材料技術部無機材料研究室とイオン交換材料とハイドロゲルとの複合化に関する協同研究を行っています。
私たちの当研究室では、機能性複合材料を中心に、新しい材料や製品等の製造方法をはじめ、「ヒトにやさしく・QOL(生活の質)を確保できるモノ」の特性解析や評価に関する研究と開発を進めています。

教授
淺香 隆
化学工学、材料物性学、機器分析学、機能性複合材料の開発と物性評価

「有機合成化学」を基盤に様々な挑戦をしています。ところで、“有機合成化学”とは何でしょう?有機化合物を分子レベルで設計し、それを化学的に創り出すことです。分子レベルでの“デザイナー”、“ものづくり”といえるでしょう。
たとえば、医薬品開発。可能性のありそうな化合物をピックアップし、わずかに構造の違う多種類の化合物を設計・合成を行います。こうした一連の地道な研究の成果として、実際の医薬として有効な分子が選択されていきます。インフルエンザ薬、タミフルもこうした研究結果から生まれたのです。 
そこで、より簡単に、誰でも合成できるような技術開発が求められています。私たちは医薬への応用を期待して、生体内の生理活性物質(糖ペプチドや糖タンパク質など)の合成を行っています。固相合成や酵素合成、フルオラス合成などを駆使した新規な合成法を開発しています。また、開発した合成手法を応用し、最近では、核廃棄物からウランの抽出にも成功しています。

教授
稲津 敏行
有機合成化学、自動合成装置を思考した生体機能系分子の合成

人類が「火」を手にし、それを利用するようになったとき(必要に応じて火をおこし、または消すなどが出来るようになったとき)、「応用化学」という分野が始まりました。応用化学とは、化学反応を人為的に制御して利用する分野のことです。大袈裟な表現をするならば、人類の発展は応用化学とともにあると言えます。
  私達の研究室では、その中でも特に金属と気体の化学反応に興味を持っています。酸化・水素化・窒化・炭化など、金属と気体の反応、または機械的なエネルギーやプラズマのエネルギーを組み合わせることなどを利用して、色々な分野に利用できる新しい材料に挑戦してみたいと考えています。エネルギー変換・貯蔵材料、低環境負荷材料など、従来とは異なる材料の創成と基礎物性の解明を目指します。

教授
佐藤 正志
無機固体化学、材料科学、固相ー気相反応を利用したエネルギー変換・貯蔵材料

当研究室では、低環境負荷を考えた次世代二次電池用電極活物質、メソポーラス物質等の21世紀を担う新しい無機化学物質の合成と評価に関する研究を行っています。近年の研究例としては、電子レンジのマイクロ波を利用した電極活物質の新しい合成法を開発しました。マイクロ波を用いた合成法は、低コスト及び短時間で反応が進む非常に効率的な合成法であり、従来法で数十時間反応させて作製していた化学物質が、わずか数分間の操作で合成できます。当研究室では、従来から培われてきた合成プロセスを土台にして、電子レンジのような身近なものを応用するなどのアイデアを取り入れ、物作りのサイドから、より効率的で地球環境、人間環境に優しい新しい技術開発を目指しています。

教授
樋口 昌史
無機合成化学、無機環境化学、リチウムイオン電池材料の合成

ナノ寸法に制御した材料を機器等に応用する技術をナノテクノロジーと呼び、近年この分野の研究が注目されています。ナノ材料は比表面積が格段に増大する構造にあるため、界面反応効率が向上することや機器の超小型化・軽量化に繋がることがその理由です。
本研究室では、高分子化学・物理化学に立脚した独創的且つ簡便な手法でナノ材料を創製し、人類の健康や医療、環境に役立つ研究に繋げることを目標に掲げています。特に、生体や環境に優しいナノ材料(ナノシート、ナノ粒子、ナノファイバー)に注目します。分子の特性を理解しながら、目的に応じたナノ材料の設計、加工、さらには医工連携・異分野融合体制による機能評価までを一貫して行う研究テーマを展開します。既知の分子からこれまでにないユニークな特性をもつナノ材料を創り出す楽しみを共に味わいましょう。

教授
岡村 陽介
生体材料学、高分子化学、ナノ生体材料(ナノ粒子および高分子超薄膜)の医療応用

私たちの研究室では、主に3つの研究を行っています。
1つ目は、不斉合成反応の開発です。多くの医農薬品は光学活性な化合物であり、それらの立体化学の違いが生体への作用に大きく影響します。そのため、有用な物質を選択的に合成する方法が必要です。私たちは、金属の周りに光学活性な有機化合物を配位させた錯体を使って光学活性な化合物を効率的に合成する方法を開発しています。
 2つ目は、炭素-炭素結合形成反応の開発です。有機化合物の骨格は炭素から成り立っており、その骨格に様々な官能基が修飾されてできています。私たちは、様々な金属を用いて効率的に炭素-炭素結合を形成する方法を確立したいと考え、研究を進めています。
 3つ目は、生理活性物質の開発です。上に述べた方法や一般的な有機化学の手法を駆使して、新しい生理活性物質を合成して構造の違いによる活性への影響などを調べています。現在は、新しい発毛活性物質についての研究を進めています。

准教授
毛塚 智子
有機合成化学、有機金属化学、遷移金属錯体を用いる有機合成

電気化学を通して豊かな未来を目指す!
「電気化学」は実は生活に欠かせない身近な存在であり、化学と電気(電子移動)を結びつける学問です。代表的な応用例として、携帯電話や電気自動車に不可欠な二次電池、工業的にも重要な金属めっきや金属精錬、エレクトロニクス、バイオセンサーなどがあります。
当研究室では次世代二次電池や新型バイオセンサーの研究を行っています。例えば、容量が10倍以上で低価格・低重量な電池(リチウム-硫黄二次電池)が実現できれば、利便性向上のみならず再生可能エネルギーの利用促進(環境問題改善)にも繋がります。未だ謎の多いリチウム系二次電池の詳細原理を明らかにすることができれば、人類社会に多大な貢献ができるでしょう。皆さんも電気化学を通して豊かな社会の実現に貢献しませんか?

助教
松前 義治
電気化学、分析化学、エネルギー化学

*は補助教員


応用理化学専攻(生命科学領域)

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教員名
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 皆さんは「アンチエイジング」と聞いて何をイメージしますか?日本はすでに、65歳以上の高齢者が占める割合が21%を超えた「超高齢社会」です。年齢を重ねても健康を保つため、身体を錆びつかせないように、抗酸化力を高める食品や薬を上手に使うことが望まれます。
 身体の中にはもともと、過剰な酸化物を無毒化するシステムがあります。では、どうすればその働きを高められるでしょうか?私達の研究室では、細胞を酸化ストレスから守る化合物を開発し、その効果を調べる研究をしています。特に、生体内で最も有力な抗酸化作用をもつ「グルタチオン」という分子と必須微量元素である「セレン」に着目しています。
 セレンは、過酸化水素を加水分解して無毒化する酵素の活性部位に存在して、酵素の働きに重要な役割を果たしています。そこで私達は、セレンをグルタチオンに組み込んだセレノグルタチオンという化合物を調製し、細胞に添加してみたところ、過酸化水素による細胞の致死率を低下させ、生存率を上昇させることができました。

教授
金森 審子
分子細胞生物学、生化学

 糖脂質や糖タンパク質の糖鎖は細胞内小器官のゴルジ体で転移酵素の連続反応により合成されますが、この過程がどのようにして制御されているのか、あるいは、いないのかが分かっていません。糸口をつかむためにケミカルバイオロジーの観点から研究しています。
 蛍光標識した糖脂質を探査プローブとして細胞に投入し、糖鎖部分の構造変化について蛍光検出−ナノ−液体クロマトグラフィー−質量分析法で定量分析しながら構造分析を行います。細胞内の生化学反応には影響を与えない方法によって探査プローブの位置の変化を蛍光シグナルとして追跡し、構造の解析には一定時間後の細胞から探査プローブを取り出し、分離した後構造の解析を行います。位置情報、構造情報、さらに、量の情報はゴルジ体での糖鎖の変換過程解明の重要な情報となります。このような詳細な分析は、腫瘍悪性化の細胞レベルでの判定に役立つと期待できます。

教授
蟹江 治
生物有機化学、糖鎖工学、質量分析学

糖尿病、痛風、動脈硬化、アルツハイマー病など慢性炎症がからむ病気は、免疫システムによって引きおこされる自然炎症が原因とする説が有力となってきました。つまり、私たちがかかる病気の多くは、本来は病原体からからだを守る存在である免疫システムの破綻が原因となっている可能性が高いといえます。このことから、免疫システムをコントロールできれば、多くの病気を予防・治療できる可能性があります。免疫システムには病原体や体の中の危険を感知するセンサーが数多く備わっています。このセンサーの中には病原体や細胞の表面に普遍的に存在する糖鎖を認識する分子があります。私たちの研究室では、免疫細胞の糖鎖受容体を標的として、糖鎖を表面にもった脂質カプセル(リポソーム)などの粒子を用いることで、免疫システムに直接介入する方法を開発し、がんや感染症に有効な細胞性免疫応答を誘導ができることを発見しました。また、この現象を応用することでがんあるいはマラリアやウイルス感染の病態制御にも成功しています。現在は、抗炎症作用を持つような免疫応答を意図的に誘導してアレルギーなどの炎症性の疾患を制御できるような機能性微粒子の創生を目指して研究を続けています。このような科学的知識に基づいた技術の開発研究から、感染症や癌、生活習慣病、自己免疫疾患などに対する新たな人為的制御法(ワクチン)の開発が可能となります

教授
小島 直也
生物化学、細胞生物学

私は遺伝子発現の仕組みについて興味をもって研究をしています。ヒトには2万数千の遺伝子が存在するといわれていますが、その全ての遺伝子がいつも使われているわけではありません。必要に応じて、必要な遺伝子が、必要な量だけ発現しています。例えば、線虫という小さな生き物に特別な試薬を与えると、その線虫が長生きすることを我々は確認しました。その試薬を与えた条件では、線虫の体内では長生きに関わる何か特別な遺伝子が発現しているに違いありません。そのような遺伝子が実際にどのような機能を果たしているのか、その遺伝子が発現すると細胞内でどのようなことが起こるのか、その遺伝子は実際にいつ、どこで発現するのか、などの事柄について、実際に遺伝子をクローニングし、DNAレベルで解析することで追究していきます。おもな研究領域および実験手法は分子生物学・生化学・遺伝子工学です。

教授
笹川 昇
分子生物学、生化学

 私の研究室では、天然物に由来し細胞膜に作用するタンパク質や低分子化合物の研究を行っています。これらの物質は、細胞膜に存在する脂質や複合糖質などに作用して膜を破壊したり細胞を凝集させたりします。また、細胞内情報伝達に影響を及ぼし、細胞増殖抑制や細胞死を引き起こす物質もあります。簡単に言うと細胞を壊してしまうのですが、このような物質が、私たちが食する食材にも含まれていることは驚きです。しかも、中には細胞膜上の特定の分子と相互作用する性質を持つものもあり、新しい生化学的プローブや抗がん剤等などへの応用が期待されます。
 また、生体構成成分の一つである糖タンパク質糖鎖の構造や機能に関する糖鎖工学的研究やがん細胞の組織化学的および酵素生化学的研究も行っています。とりわけ、疾患において糖鎖構造の変化を解析することや疾患に関わる細胞の個性を調べることで、その疾患の理解につなげたいと考えています。

教授
中田 宗宏
病態生化学、天然物生化学

 脳は、思考・感性・意志などの多彩な機能を発揮しています。これらは、ニューロンから構成される神経回路によるものです。脳のニューロンは三次元的な神経ネットワークを形成しており、神経回路を明らかにするためには、このネットワーク構造を解析することが必要です。
 私たちの研究室では、CTスキャンの原理を応用して、生体組織の微細な三次元構造を解析しています。これまでヒト・マウス・ショウジョウバエの脳組織の三次元構造を明らかにし、ヒト大脳皮質の構造から神経回路が決定できることを示してきました。得られた成果は、米マサチューセッツ工科大の発行するMIT Technology Reviewでも紹介されています。今後も研究を進め、個人ごとの神経ネットワークの違いを解析し、疾患によるニューロン構造の変化を同定することを目指しています。

教授
水谷 隆太
構造生物学

 タンパク質は、生き物を形作る重要な要素の一つです。タンパク質は、化学的にはアミノ酸が鎖状に連なった構造をしていて、そのタンパク質を構成しているアミノ酸には20種類あり、それが数十から数百、場合によっては数千個つながって一つのタンパク質となります。
 体の中で、タンパク質は多くの働きをしています。細胞や組織の形を維持する機能や、消化酵素、血糖値を下げるホルモンもタンパク質です。それらのタンパク質の機能を決めるのは、アミノ酸の並び方です。つまり、タンパク質にある機能を持たせたければ、その機能に特徴的な並び方が必要になります。
 私の研究室では、タンパク質を化学的に合成しています。合成したタンパク質の機能をさぐることによって、生き物の中で起こっている現象のメカニズムを明らかにしたり、あるいはこれまでの方法では合成することのできないタンパク質を合成するための方法を作るような研究を日々行っています。

准教授
片山 秀和
生物有機化学、ペプチド化学

現在、日本では高齢化社会の背景として、高額な医療費を賄っている社会保障関係費の増大が大きな社会問題となっています。その解決策の一つとしては、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の原因となる生活習慣病を予防し、健康寿命を延伸することが上げられます。生活習慣病とは、食生活、運動不足、喫煙、飲酒など、生活習慣が要因となって発症する疾病の総称で、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などを指します。近年、特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品、機能性表示食品といった保健機能食品が数多く販売されています。これらの食品を積極的に摂取することにより、生活習慣病の予防が期待されています。
 本研究室では、機能性成分の一つであるオリゴ糖に着目し、食品や医薬品への利用を検討しています。とりわけ、天然の機能性オリゴ糖を多く含む食品開発の一環として、東海大学農学部で作成されたヤーコンシロップ中に含まれるオリゴ糖の定性・定量分析、また原料であるヤーコンの生化学的分析を推進しています。これらの研究結果から、さらに高い機能性を有する食品の開発を目指しています。

准教授
黒田 泰弘
分析化学、糖鎖工学

 21世紀に入り、ヒトを含めてさまざまな生物の遺伝子情報が次々と解読されています。これらの情報を元にして、これまでに開発が不可能だった様々な医薬品や食物が続々と開発されており、遺伝子研究は、私たちの生活に対してより身近にその研究成果が還元されつつあります。
 微生物から高等動物まで共通して、細胞が正常に生きていくうえで、不可欠な蛋白質が数千〜数万種類存在します。特に多細胞生物にとって「糖鎖」と呼ばれる高分子は大事な働きをしており、その「糖鎖」を作る糖鎖合成酵素はその作用の調節メカニズムにまだまた未解明の点が多く残されています。
 私達の研究室では、酵母細胞を用いて、ヒトの糖鎖合成酵素を遺伝子工学的に解析しています。酵素蛋白質自体の解析では分からないことをその遺伝子を使うことで一つ一つ明らかにすることができます。私達の遺伝子解析の成果が、将来、自分たちの生活の中に還元されることを望みながら日々研究に励んでいます。

准教授
高橋 哲夫
糖鎖生物学、遺伝子工学

ゼブラフィッシュを使った医学研究
 当研究室ではゼブラフィッシュという熱帯魚を使って人の病気に関する研究をおこなってます。熱帯魚で研究なんてできるの?と不思議に思う人もいるかもしれません。しかし、ゼブラフィッシュには脳や筋肉、心臓や血管などの臓器があり、その基本構造は人の臓器と似ています。そしてそれらの病気に関わる遺伝子の多くも共通しているのです。ゼブラフィッシュでは遺伝子組換えが簡単におこなえるため、遺伝子工学技術により特定の臓器を光らせた蛍光ゼブラフィッシュを作製し、脳や筋肉などの臓器の様子を詳しく観察することもできます。これらの利点からゼブラフィッシュの医学研究への応用が今、注目されています。私たちの研究室では、ゼブラフィッシュと遺伝子工学技術を組み合わせ、筋ジストロフィーという筋肉がやせて弱っていく難病の研究に取り組んでいます。小さなゼブラフィッシュの研究から大きな発見が生まれることを目指しています。

准教授
三橋 弘明
分子遺伝学、骨格筋生物学

*は補助教員



電気電子工学専攻(生体医工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

磁気共鳴画像化法(Magnetic Resonance Imaging, MRI)に基づく体内の熱・物質輸送の非侵襲可視化に関する研究を行なっています.ヒトをはじめとした生物にとって温度は最も重要な環境因子の一つですが,体内温度の空間分布や時間変化の詳細はまだ分かっていません.また血液,リンパ液,脳脊髄液のような体液は体内を絶えず動き,様々な物質輸送,熱交換などを担っています.中でも脳脊髄液は動きや循環経路において未だ不明なことが多く,その解明は神経科学や臨床医学上の重要課題となっています.このようは背景の下,当研究室では水素原子核の磁気共鳴周波数や緩和時間の温度依存性を利用した体内温度分布の可視化,複素磁気共鳴信号の位相の速度依存性を使った脳脊髄液の動態計測の研究を医学部との共同で行なっています.さらにがんの温熱治療装置の加温特性解析ならびに体内に医療機器を植込まれた患者さんのMRI検査安全性試験にも取り組んでいます.

教授
黒田 輝
生体医工学、メディカルイメージング研究室ホームページ

 ヒトと動物の行動に関わる神経機構について研究しています。現在、テーマは大きく3つに分かれていて、一つは概日リズムを同調させる光受容機構の解明です。もう一つは模型ホビーのユーザービリティ評価に関する生理学的・心理学的手法の開発です。そして最後は、視覚機能に関する研究で、最近ではバーチャルリアリティー環境下における主観的な現実感を測定する生理学的評価手法の開発にも着手しています。
 概日リズムの光同調に関わる光受容機構に関しては、私が2000年当時米国に留学していた時に指導教員とともに発見した網膜の特殊な光受容細胞に関する研究を行っています。最近ではこの細胞に関して概日リズムの光同調以外の皮質下視覚機能に対する役割について行動学的に明らかにする実験を開始しています。模型ホビーのユーザービリティ評価に関する研究は、模型メーカーと共同して研究を進めており、ユーザーがより楽しめるプロダクトの条件について明らかにしようとしています。

教授
高雄 元晴
生体情報化学

*は補助教員


電気電子工学専攻(ロボティクス・マンマシンインターフェイス領域)

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教員名
専門分野研究室URL

 当研究室では,主に移動ロボットの機構設計とその制御システムの開発に関する研究を行っている.移動ロボットはエネルギー源等,すべての要素を搭載する必要がある為,その機構設計に注意を払わない限り,実用性の高い機構を実現する事はできない.この観点から,エンジン駆動型歩行ロボット,グライド推進を利用した各種移動ロボット,搭乗型全方向移動ロボットの設計・開発を行っている.また,自律的に,もしくは人間の操縦の元で決められたロボットの運動を実現する為の制御システムの構成についての研究も対象としており,多脚歩行ロボットの為の分散型協調運動システムの構築等を行っている.この他,メカトロニクス技術を育成する為の教育システムの構築にも注力しており,3Dプリンタに代表されるような次世代のものづくりツールを駆使して,総合的なメカトロニクスシステムの開発を高等教育機関で実践できるような教育システムの構築を目指している.

教授
稲垣 克彦
ロボット工学、メカトロニクス研究室ホームページ

本研究室では,ロボットなどの機械システムを人間が主体的に操作・操縦するシステム「人間-機械制御系」を対象に,人間にとって操作しやすいシステムとするための制御手法を中心に研究しています.人間-機械制御系の具体例は,自動車・航空機の操縦,介助補助用パワーアシストシステム,人間とロボットの協調作業システムなど,身近なものから今後発展 が期待される分野まで幅広く存在します.一般に,人間は操作対象の特性に応じて適応的に自分自身の特性を変化させる性質があります.本研究室ではその性質を制御工学的にとらえ,システム全体の安定性の補償や,操作性の高い人間-機械制御系の設計に利用することを検討しています.

教授
稲葉 毅
ヒューマンシステム、制御工学研究室ホームページ

直感的に操作可能なコンピュータの入力装置やインタラクティブなシステムの実現には,高度なセンシング技術が必要不可欠です.そこで,竹村研究室では,人を計測対象としたセンシング技術・センシングシステムについて,研究を取り組んでいます.主な研究テーマは,視線計測技術と身体を伝播する振動のセンシングであり,これらの情報を手掛かりに人の状態推定や理解に取り組んでいます.右の写真は,能動的に振動を身体に入力し,手形状によって変化する伝播特性を学習することで,手形状の推定を実現した様子です.このような新しい計測技術の実現に向けて,学生と共に挑戦しています

教授
竹村 憲太郎
視線計測、ヒューマンインターフェイス研究室ホームページ

*は補助教員


電気電子工学専攻(複雑系・ディープラーニング領域)

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教員名
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主に計算幾何(computational geometry)関係のアルゴリズムを開発しています。最近、順序付きの特性を有する幾何学的物体を巡回する問題について研究しています。例えば、下の幾何問題に対するアルゴリズムの研究を取り組んでいます。
1) 平面上に線分の集合が与えられるとき、どの線分も少なくとも1点を含む境界線最短の凸包を多項式時間で見つけることができるか。
2) 多角形領域P内にn点が与えられるとき、すべての点をちょうど1回訪問する、Pの境界線と交差しないようなハミルトン路を求める多項式時間のアルゴリズムが存在するか。グラフにおける同様の問題がNP困難であることが分かっているが、この問題はNP困難でないと予測されている。

教授
譚 学厚
計算幾何学

私の研究室では、量子力学と呼ばれる学問にのっとった理論研究をおこなっています。ミクロ・スケールの世界で、原子レベルの粒子の運動状態をエネルギースペクトルの性質から判断し、運動を制御する方法を確立する研究に取り組んでいます。
こんな風にイメージしてみてください。1枚のドアでつながった2つの部屋があるとします。ドアのこちら側の部屋には粒子が1つあり、あちら側には何もありません。こちら側の部屋では、粒子がビリアード台上のボールのように、部屋の壁と衝突を繰り返しながら等速運動を続けています。ドアを開けると、粒子はあちら側とこちら側の部屋を行き来します。ただし、部屋が原子レベルの大きさだとしたら、粒子の運動は量子力学の原理にのっとり、波動理論的に決まる事が知られています。つまり、この"粒子"は、粒子の性質と波の性質を併せ持つのです。その場合、波の波形がドアの形状にピタリとフィットしなければ、粒子はドアを通り抜けられません。ドアが開いていたとしても、粒子はこちら側の部屋に永久に留まる事になります。私たちの日常的な感覚では理解困難な現象ですが、原子・分子の世界ではこのような事が当たり前のように起こります。上の例でいえば、粒子の運動を制御することは、波動にピタリとフィットするようなドアを設計することを意味します。設計次第では、ドアに正面から進み向こう側の部屋に入ったはずの粒子が、不思議なことに次の瞬間、こちら側に到着してしまう事もありえます。
粒子のエネルギースペクトルを観測することで、一方の部屋に留まっているのか、双方の部屋を行き来しているのかを判定することができます。私たちの研究室では、理論的な手法や数値シミュレーションによりこれを実現します。

教授
牧野 浩典
非線形・非平衡統計学、情報科学、量子系のダイナミックス

*は補助教員


電気電子工学専攻(リモートセンシング領域)

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教員名
専門分野研究室URL

近年の地球環境の急速な変化に対して有効な対策を立案するためは、まず現在の地球の姿を正しく捉えること、つまり観測が大切です。地球という大きな観測対象を効率良く観測するためには人工衛星によるリモートセンシングが有効です。そこで、本研究室では人工衛星を使った地球観測を題材に、コンピュータシステムの構築、データ解析ソフトウェアの作成、応用解析、そして解析結果の考察を行います。 理学的課題(気候変動、地球物理)と工学的課題(アルゴリズム、計算機システム)をシームレスにつなぐことで、地球環境観測のニーズに即応できる知識と技術の集積を行います。近年の研究テーマは、「EarthCARE(アースケア)衛星を用いた雲特性解析と雲が気候変動に与える影響について」、および「気象学に基づく太陽日射量推定およびエネルギーマネジメントへの貢献」、です。これらの研究は主に宇宙研究開発機構(JAXA)や科学技術振興機構(JST)からの委託研究で進められています。

教授
中島 孝
地球観測衛星リモートセンシング、大気放射学、データ処理アルゴリズム研究室ホームページ

「画像処理技術の側面から人や社会や世界の問題に立ち向かおう」をモットーに,次のような研究を実施しています.
(1)世界土地被覆分類
 地球環境変動予測や地球環境変化モニタリングに必要な世界の土地被覆状況の把握を地球環境観測衛星データから試みています.
(2)コンピュータ筆跡鑑定
 ある2つの筆跡が同一人によるものか否か(筆者異同識別)をコンピュータでなんとかできないか,とその方法を探しています.

教授
福江 潔也
画像処理,リモートセンシング,コンピュータ筆跡鑑定

海の色は一般には青色ですが、よく見ると日々変化しています。例えば、植物プランクトンが増えると緑色に、時には赤潮と呼ばれるようにオレンジ色になることもあります。また、砂や泥が混じると黄色や茶色になります。これらの水の色の違いを衛星センサーで観測し、海中に含まれる物質(植物プランクトン、砂や泥など)の量を推定することを「海色リモートセンシング」といいます。
 衛星の海色データから海中の物質を推定するには、2つの段階があります。1つは、衛星で観測された光から、大気中からの反射光を取り除いて海の色、より詳しくいうと海水の反射率スペクトルの推定をします。そして、海水の反射率スペクトルから海中に含まれる植物プランクトン、砂や泥などの物質を推定します。
 衛星データから水中の物質量を画像化することで、その海域の植物プランクトン、砂や泥の空間的な分布がわかります。衛星は毎日観測していますので、日々のそして季節的な変化がわかります。東京湾のような富栄養化している湾の様子をモニタリングすることができます。また、地球規模のデータを長期間蓄積することによって、地球の気候変動の研究に役立てることができます。

教授
虎谷 充浩
海色衛星リモートセンシング、大気補正処理アルゴリズム

*は補助教員


電気電子工学専攻(光工学領域)

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教員名
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本研究室では、偏光計測装置およびホログラフィック干渉等を利用した高密度光記録法の開発、ならびに機能性薄膜デバイスの作製と応用に関する研究を行っています。
 偏光計測は、現在利用されている表示デバイスの作製には欠かせない技術です。試料の表面状態に敏感で、試料にある複屈折を計測することもできます。多くの偏光測定装置は被測定光の偏光状態によってその測定精度は変化することが知られております。本研究室では、偏光状態によらず高精度な測定を実現するとともに、実時間、短時間測定を目指して、装置の試作および校正法の開発を進めています。
 機能性薄膜デバイスの一例としてはSERS(表面増強ラマン散乱)を利用した薄膜チップです。本研究室では金属ナノ粒子を適度に分散させた薄膜を作製する簡便な手法を確立するとともに、薄膜チップの高感度化を目指しています。

教授
渋谷 猛久
応用光学計測、薄膜物理、ホログラフィー

地球環境問題は人間活動によって発生する環境問題です。1990年から太陽光エネルギー計測を通してこれを解析・評価しています。地球規模の環境を評価するためには、統一した尺度での絶対エネルギー量の測定が必要です。しかし、特に解析・評価が必要な紫外線を計測するための計測器の校正方法は国際的に定められていません。さらに、現代社会は紫外線を利用して作り出されており、身の回りにあるほぼ全ての製品は紫外線を利用して作り出されています。この品質管理のためには紫外線の絶対エネルギー量を測定する必要があります。つまり、地球環境問題の解析・評価のためにも、私たちの生活の質を高めこれを維持するためにも紫外線の絶対エネルギー量の計測を国際尺度で実施することが要求されているのです。本研究室では、光エネルギー絶対量の計測に関する研究を通して地球環境問題の解析・評価と、人間の生活の質の向上をはかります。

准教授
竹下 秀
光環境解析・評価、光エネルギー絶対量計測

走査型近接場光顕微鏡の開発と応用、非繰り返し減少の時間分解計測と物性物理、光学計測機器の小型化と高性能化

講師
立﨑 武弘
プローブ顕微鏡、近接場光、時間分解分光、光計測

*は補助教員


電気電子工学専攻(光エレクトロニクス領域)

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教員名
専門分野研究室URL

 光学薄膜は光の透過率、反射率の制御に不可欠です。そのため、光学薄膜は光学部品・光センサーなどには必ず用いられます。光学薄膜の使われる分野は従来のカメラ(一眼レフ・スマートフォンなど)などの光学製品だけでなく広がっており、家電の光センサー、自動車の自動運転・セキュリティ・認証技術の赤外線センサー等にも用いられています。そのため、光学薄膜に求められる性能も厳しくなってきています。私の研究室では光学薄膜の高品質化・高機能化を目的として研究しています。特に、光学薄膜の応力制御、低光散乱化、高密着性化(高付着力)に取り組んでいます。また、今までにない成膜装置としてスパッタリングと真空蒸着が同時に行える装置を開発し、水の屈折率1.33より低い屈折率をもち、しかも、高耐久の光学薄膜の作製に成功しています。なお、これらの特性評価についても研究を行っています。さらに、ISO規格やJIS規格の策定にも関わっています。

教授
室谷 裕志
薄膜工学、オプトエレクトロニクス

現在のインターネットは、情報量あたりの通信コストを劇的に低減できる光通信技術の発展によって実現されました。当研究室ではさらなる大容量化のための研究を行っています。また光通信技術の他分野への展開も研究しています。具体的なテーマは以下のとおりです。
①現在の通信ネットワークでは光増幅器を用いて中継を行っていますが、増幅器の雑音や増幅帯域が伝送容量を制限することが分かっています。そこで、従来とは異なる光パラメトリック増幅を利用した低雑音増幅や増幅が出来なかった波長帯の増幅の研究を進めています。
②半導体レーザとその波長変換技術を用いて、各種のガスを高感度に検出する研究を行っています。現在はシックハウス症候群原因物質のリアルタイムセンシングや、火山ガスの高感度センシングの研究を進めています。
③半導体レーザでは広い波長範囲のガス吸収スペクトルの測定は困難でした。現在光ファイバレーザによる広帯域光の発生と広帯域吸収スペクトルの一括計測技術の研究を進めています。これによりガス種の同定が可能になると期待されます。

教授
遊部 雅生
光通信、光エレクトロニクス、レーザセンシング研究室ホームページ

*は補助教員


電気電子工学専攻(画像・情報工学領域)

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教員名
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内田研究室は、「安全・安心な社会を情報科学の力で実現する」をモットーに様々な研究に取り組んでいます。現在は主に「災害情報処理」に関する研究に取り組んでおり、特にTwitterなどのソーシャルメディアを用いた災害時向け情報共有システムの構築や災害情報の可視化、パーソナル化に関する研究に注力しています。内田研究室が開発したDITS
(Disaster Information Tweeting System)
は、自治体の防災訓練などでも利用されており、現在は神奈川県内の中学校・高校で防災教育に活用する取組みを行っています。また、DITSの後継バージョンとして開発した「さいれぽ」は、平成29年度国土地理院防災アプリ賞を受賞しました。文部科学省平成28年度「私立大学研究ブランディング事業」選定事業「災害・環境変動監視を目的としたグローカル・モニタリング・システムの構築による安全・安心な社会への貢献」にも主要メンバーとして関わっており、関連研究室と共同で多彩な取組みを行っています。

教授
内田 理
災害情報システム、ソーシャルメディア、自然言語処理研究室ホームページ

今日,どの工業製品を選んでもその性能に大差はありません。一方,製品の外観は,消費者の購買意欲を高める要素として重要になってきています。当研究室では,光や色彩に関する物理や化学が,工業製品の外観の改善に大きく寄与すると考えています。そして製品の外観を科学の力でバックアップする「創造的加飾技術」という新分野を提案し,発色性の金属,色変化する繊維等を作製してきました。これらは,薄膜干渉等による物理的発色,サーモクロミズムによる化学的発色等を利用しています。例えば,ニオブの酸化物(Nb2O5)による薄膜干渉による発色では、元々透明なNb2O5薄膜による物理的な干渉色であるため,染料や顔料のような化学変化による劣化・退色がありません。これらの材料の特性を見極めると同時に,製品の加飾,偽造防止,電子ペーパー等に応用するのが目標です。

教授
前田 秀一
イメージングマテリアル、電子ペーパー

Web、スマートフォン、IoTなどから、実世界を反映する大容量のデータが爆発的に急増しています。そして、そのデータを用いて新たな価値を生み出す、ビックデータやAI技術が注目されています。それに従いデータ解析に関する研究が広がり、パーソナライゼーションなど、情報の効率的な利用方法の重要性がますます高まっています。しかし一方で、情報のデジタル化と集中管理にともない、個人情報の漏洩や保護に対するさまざまな問題も起こっているのが現状です。今の情報システムは、情報セセキュリティを抜きには成り立ちません。本研究室では、データの効率的な利用と視覚化、データサイエンスを基にした個人情報を守るための技術及び個人情報管理手法と情報セキュリテに関する教育システムの開発を目指しています。

准教授
慎 祥揆
データ分析、個人情報保護評価、セキュリティ教育、サービス工学

様々な要因によって劣化してしまった信号から元の信号を復元する方法や、その応用について研究しています。観光地で撮影した写真に電柱や撮影者の指が写り込んでしまったことはないでしょうか。また、暗所で撮影された画像や無線伝送された信号、そして大きすぎる音声を無理に録音した場合には特有の雑音や歪みが生じることが知られています。これらは全て信号の劣化として捉えることができます。劣化した信号を価値ある信号へ復元するために、元の信号の性質や劣化がどのようにして生じたかを考慮した手法の構築を目指します。

特任助教
高橋 智博
ディジタル信号処理,画像処理,スパースモデリング

*は補助教員


電気電子工学専攻(クリーンエネルギー領域)

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教員名
専門分野研究室URL

太陽電池は半永久的な太陽をエネルギー源としているため、無公害且つ無尽蔵であり、しかも発電規模に関わらず任意の場所で発電することが出来ます。太陽光は可視光線から赤外線領域まで広がるスペクトルを持っていますが、太陽電池は使用する材料によって利用できる光の波長範囲が異なるためすべての光エネルギーをひとつの太陽電池で100%利用することは不可能です。そこで、利用できる光の範囲が違う太陽電池を積層した積層型太陽電池の開発が望まれます。本研究室では、一般的に用いられている結晶シリコン太陽電池より長波長の光を利用するシリコンゲルマニウム太陽電池や短波長の利用が可能なペロブスカイト太陽電池の研究開発を行い、積層型太陽電池の実現を目指しています。

教授
磯村 雅夫
太陽電池工学

創エネ・省エネ分野の中心となる電気・電子技術は、現在懸念されている地球温
暖化や化石エネルギー資源枯渇などの問題などに極めて有効な手段となります。
ハイブリッド車や電気自動車から電車に至るまで、高効率で回生発電もできる電
気モータを使うことで、エネルギー効率を高めています。本研究室ではエネル
ギー変換・貯蔵技術の応用分野を広げることを目指すために、ソーラーカーや電
気自動車の高効率化に関連した研究を産学連携で行っています。具体的には、
「太陽電池モジュールの最適レイアウト」「超高効率モータおよびコントローラ
の開発」「低空力ボディと太陽光発電の最適化」「電気二重層キャパシタの応用
技術」などです。自動車の省エネルギー化を推進する観点から、共同研究として
「熱音響エンジン用リニア発電機の開発」「ソーラー無人飛行機の開発」「電子
線照射等による炭素繊維と各種材料との高強度接着」など、幅広い分野にわたる
取り組みを行っています。

教授
木村 英樹
エネルギー変換・貯蔵研究室ホームページ

本研究室では,燃料電池の作製と評価を行なっています.特に,燃料電池を高性能化に必要な白金触媒を液中プラズマ法で作製する研究を行なっています.この研究は従来の作製法に比べ粒径の小さい白金粒子を作製可能であることから,燃料電池の高出力化,白金触媒使用量の低減によるコスト削減にも貢献できます.また,触媒の担持体としてカーボンナノチューブ(CNT)などの新しい材料の応用も検討しています.CNTを担持体などに応用する場合には,CNTを水中に分散させる必要があります.本研究室では,超音波分散法,ジェットミル分散法などを用いて,良質なCNT分散液の作製を行なっています.このCNT分散液は燃料電池触媒の担持体以外にも導電材など色々な用途に応用可能です.本研究室ではCNT分散液と各種樹脂を混ぜることで,高い導電性を有する複合樹脂の作製も試みています.作製した複合樹脂は,燃料電池の電極の保護膜への応用を目指しています.

教授
庄 善之
燃料電池工学

 近年急速に導入量が増えている太陽光発電を中心に、再生可能エネルギーに関してデバイスからシステムまでの幅広い分野にわたって研究を行っています。また、学内外での共同研究にも多く携わっています。太陽電池そのものを対象とした研究では、インクジェット印刷法を用いた太陽電池作製やペロブスカイト太陽電池の開発といった、低コスト化可能な印刷法による太陽電池の作製に取り組んでいます。また、太陽光発電のさらなる普及には、太陽電池モジュールの長寿命化、信頼性の向上が欠かせません。そこで、極限状態における太陽電池モジュールの信頼性を明らかにするために、モジュールに落雷した際のダメージや、長期信頼性への影響を調査しています。その他には、太陽光発電を含めた再生可能エネルギーの利用促進を目指した蓄電システムの開発や、排熱からエネルギーを得ることができる熱音響機関と発電機を組み合わせた熱音響発電の開発にも取り組んでいます。

講師
金子 哲也
太陽電池、蓄電システム研究室ホームページ

*は補助教員


電気電子工学専攻(パワーエレクトロニクス領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

(1) 大気圧放電によるプラズマジェットの研究
ガス分子は高電界のエネルギーに曝されると、電子とイオンの温度が異なる非熱平衡状態(低温プラズマ)に変化します。大気圧空気の場合は局所的な電離(コロナ放電など)となります。希ガスの場合は均一性高い放電になります。低温プラズマジェットとして応用できます。
(2) 噴霧水の静電気帯電の研究
微粒化した水(霧)に高電界を加えると、霧は静電誘導により帯電します。これは外部電界の作用として能動的な帯電になります。帯電粒子の散布など新たな技術として応用できます。
(3) 部分放電の特性評価の研究
社会基盤を構成する電気機器の絶縁構成には固体と気体の複合誘電体界面を伴うことがしばしばです。機器の絶縁破壊を未然に防ぐためには、部分放電の監視技術、その絶縁劣化診断および保守管理の技術が必要です。部分放電の特性評価は、これらの技術に活かされています。

教授
大山 龍一郎
絶縁診断工学研究室ホームページ

 本研究室では、電力系統工学を中心に、日本のエネルギー問題の解決策について研究しています。
 近年,再生可能エネルギーの電力系統への導入が進んでいます.この背景には,再生可能エネルギーの買い取り制度(FIT)の影響が大きいと言えます。我が国ではとりわけ,太陽光発電の導入が加速していますが、好天候に恵まれた日には、その地域の電力会社管内の電力需要に比して,大量の太陽光発電電力が得られ,余剰電力として持て余してしまう事例が報告されています.電力会社では、瞬時,瞬時で需要量と見合うだけの電力を発電しています。この発電量と需要量のバランスが崩れると,その影響がしわ寄せとなって周波数の増減に現れるため、この余剰電力が電力系統の運用面に悪影響を及ぼすことが懸念されています。
 また、風力発電についても、風の急激な変動により、ウィンドファームからの出力が急激に変動するランプ現象も観測されており、その対応が急務となっています。
 このような課題に対し、既存の電力系統との協調を図りながら、将来のエネルギー問題を解決する現実的な対策を研究しています。

講師
石丸 将愛
電力系統工学

*は補助教員


電気電子工学専攻(電磁気工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
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私たちは、空気中にプラズマがジェット状に噴出する「大気圧プラズマジェット」を用いて、(1) 電気電子材料の表面改質・表面加工、(2) 廃水中の有害有機化合物の分解、(3) 細胞への遺伝子導入、(4) 大気圧ラインプラズマ発生装置の開発などのプラズマ応用研究を行っています。これらの研究において、私たちは材料表面の原子や分子の解析には走査型電子顕微鏡(SEM)・原子間力顕微鏡(AFM)・X線光電子分光(XPS)・飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)・レーザー顕微鏡などを用い、廃水中の有機化合物の解析には、紫外-近赤外分光光度計・高速液体クロマトグラフィー(HPLC)・核磁気共鳴(NMR)・質量分析(MS)などを用い、細胞への遺伝子導入には、蛍光顕微鏡などを用いて研究を行っています。これらの研究を通して、地球環境にやさしい技術を開発し、持続可能な社会の実現を目指しています。

准教授
桑畑 周司
プラズマ応用工学研究室ホームページ

テレビジョン,ラジオ,携帯電話,電子レンジなど,電波を利用した電気・電子機器類は,現在,我々の生活の至るところで使用されています.スマートホン等の高度なディジタル電子機器からは,通信に使用される電波の他に,高い周波数成分を含む広帯域な不要電磁波が放射されていますが,近年,この不要電磁波が他の周辺機器や生体に与える影響について,懸念が広がっています.当研究室では,我々を取り巻く電磁界―電磁環境を改善することを目的として,電気・電子機器周辺の電磁環境に関する諸問題(EMC問題)に取り組んでいます.電気・電子機器に関するEMC問題は,不要電磁波の放射問題(エミッション問題)と外来電磁妨害波に対する機器の耐性の問題(イミュニティ問題)に大別されます.当研究室では,電気・電子機器からのエミッションの発生メカニズムや,外来電磁妨害波に対する機器類のイミュニティ特性を解明するために,理論と実験の両面から検討を行っています.

教授
村野 公俊
電磁波工学、環境電磁光学(EMC)

私たちがどのように資源を利用し、物質や材料を活用するかは、我が国だけでなく、地球規模の大きな課題です。新規機能性材料の探索と、未来を見越した素材の将来像や社会的受容、そしてそれらが及ぼす影響について戦略的に検討することが必要です。例えば、FPD(Flat Panel Display)等に用いられる透明導電材料はITO(Indium Tin Oxide)が主流ですが、その主原料のInのクラーク数は1×10-5と希少金属です。つまり資源枯渇とそれに伴う価格高騰が大きな問題となっており、代替材料の研究開発が急務です。ITOにかわる透明導電材料を目指して開発中のMg(OH)2-Cハイブリッド薄膜の合成に成功すれば、資源の少ない我が国が、元素戦略で優位に立てるチャンスです。あわせて、材料合成法も興味深い研究対象となります。これ迄の気相成長法や液相堆積法にとらわれず、新しい薄膜化技術を考案します。

教授
千葉 雅史
電子物性物理学

*は補助教員


電気電子工学専攻(電子工学領域)

写真研究紹介研究に関連する写真・図など
教員名
専門分野研究室URL

本研究室では、さまざまな分野に応用できるコンピュータの特性を生かし,LSIのテスト,組込みコンピューティング,コンピュータ利用教育について幅広く研究している.コンピュータの応用分野は,製品の組込みから大規模ネットワークまで,規模と分野ともに多岐にわたっており,今後もわれわれの生活の中で一層利用されることと思われる.このようにますます多様化,複雑化する現代社会の中で逞しく生きていける人材育成を目指して研究・指導を行っている.近年の研究成果として,DDR3メモリモジュールテスタの開発,フレキシブル脳波計の開発,こども科学実験教室などを挙げる

教授
浅川 毅
コンピュータ応用工学、VLSIテスト研究室ホームページ

本研究室では電子材料薄膜の堆積とデバイス応用に関する研究を行っています。反応性スパッタ成膜法を用いて、数十から数百ナノメートルの厚さの酸化物薄膜を堆積して電気的、光学的特性を評価します。研究対象は主に遷移金属酸化物であるバナジウム酸化物薄膜と透明導電性を発揮できる酸化亜鉛薄膜です。二酸化バナジウム薄膜は室温に近い68℃付近で4桁以上の急峻な抵抗変化を伴う絶縁体-金属転移を発現するため、その特性に基づく電気光学的スイッチング機能素子として開発を目指しています。特に電気的スイッチングが繰り返される自励発振現象では10 MHzという高周波発振を実現しました。薄膜の結晶格子長制御を通して転移温度を室温化することでより高周波発振が期待できます。酸化亜鉛薄膜は適切なドーパント物質を混ぜることで透明導電膜となることから透明ディスプレーやタッチパネル等へ応用されています。研究室で開発した独自のスパッタ堆積法を駆使して結晶性向上を図り、より高度な透明導電性薄膜実現を目指しています。

教授
沖村 邦雄
電子機能材料研究室ホームページ

私たちが使用しているスマートフォンをはじめとした情報機器等には,LSI(大規模集積回路)が必ず組み込まれ,データの計算等の役割を担っていることから,必要不可欠なものとなっています.これに伴い,LSIの性能は向上の一途を辿っています.一方で,LSIの製造に関しては,お米の様に温度や湿度をはじめ様々な条件に敏感であり,良品のみを製造することは現在の技術を以てしても不可能となっています.この為,出荷時に不具合がないかを検査しているのですが,性能の向上に伴って回路が複雑化し,検査時間の長大化や検査精度の低下が問題となっています.そこで,LSIの検査時間の短縮及び検査精度の向上に関して,LSI内の自己診断回路の開発や機械学習の活用の面からアプローチし研究を行なっています.また,機能の再構成可能なLSIを活用し,計算の高速化等のリコンフィギュラブルシステムの開発にも取り組んでいます.

特任助教
土屋 秀和
LSIテスト技術,リコンフィギュラブルシステム,教育支援システム

*は補助教員